2021年4月14日
BC州で救急救命士として活躍する、兵頭渡さんによるオンライン講演会 Photo ©日本語認知症サポート協会

救急救命士のインタビューと救急車内の動画を公開

日本語認知症サポート協会が9月に開催した、オンライン講演会で使用したビデオを公開
小学校の登校風景 Photo@ The Vancouver Shinpo

新型コロナウイルスから子どもを守るーシリーズ第2回

日加ヘルスケア協会理事長・田中朝絵医師に聞く「子どもと新型コロナについて」2回シリーズの第2回
小学校の登校風景 Photo@ The Vancouver Shinpo

新型コロナウイルスから子どもを守るーシリーズ第1回

日加ヘルスケア協会理事長・田中朝絵医師に聞く「子どもと新型コロナについて」2回シリーズの第1回。
BC州で救急救命士として活躍する、兵頭渡さんによるオンライン講演会 Photo ©日本語認知症サポート協会

救急救命士要請のポイント『Calling 911』

日本語認知症サポート協会では9月19日に、救急車を要請した際に役立つ緊急用リスト作成のポイントを説明するオンライン講演会を開催

がん患者同士の交流会、サロン樹

癌患者の交流会、サロン樹(みき)は、メトロバンクーバーで癌を闘う人や、治療を終えた人などが、その体験や情報を共有するための場所だ。

コロナ時代の外遊び

気候のよい春から夏にかけては、子どもたちに特に外でのびのびと遊んで欲しい

「なぜ私たちにはフィットネスとヨガが必要なのか!」

こんにちは、フィットネス&ヨガトレーナーのドナルド涼子です。このコラムでは、私たちがどうやったら、心身ともに健康で、ポジティブに自分を愛し、幸せになれるのかについてをフィットネスやヨガのトピックスを加えてお話ししていきます。

自分を変えたいあなたへ 何が起きても笑い飛ばせ

こんにちは、フィットネス&ヨガトレーナーのドナルド涼子です。このコラムでは、私たちがどうやったら、心身ともに健康でポジティブに自分を愛し、幸せになれるのかについてを毎回、フィットネスやヨガのトピックスを加えてお話ししていきます。

「おとなの予防接種」

日加ヘルスケア協会 在バンクーバー日本国総領事館共催 2019年12月5日 第49号 11月7日、在バンクーバー日本国総領事館で、日加ヘルスケア協会との共催によるセミナー「おとなの予防接種」が開催された。ナースプラクティショナーのスティーブン橋本さんと、日本の小児科医である田野島玲大医師を講師に迎え、大人だけでなく小児期の予防接種について説明があり、約20人の参加者が熱心に耳を傾けていた。セミナーの概要を紹介する。(メディアスポンサー:バンクーバー新報) セミナー開始前に児玉隆司在バンクーバー日本国領事があいさつをし、日本語で医療関連の情報を発信している日加ヘルスケア協会に感謝の意を述べた。そして、今後も定期的にこうしたセミナーを開催してほしいと述べ、総領事館としても可能な限りサポートをしていきたいと語った。 *「BC州におけるおとなのための予防接種」講師 スティーブン橋本さん 予防接種とワクチン  予防接種のワクチンには生ワクチン(例:MMRー麻疹、おたふくかぜ、風疹)、不活性化ワクチン(例:インフルエンザ、肺炎球菌)、トキソイド(例:破傷風菌)、リコンビナントワクチン(例:HPV、帯状疱疹)といった種類がある。ワクチンの中には、水銀や抗生剤が含まれているものもあるが、心配する必要はないほど微量なものだ。カナダで認可されるワクチンは最大で国内3万人の被験者を使い、10年かけて安全性の確認をするため、安全性は極めて高いと考えられる。ワクチンを接種することで起き得る副作用は、注射部位の痛み、腫れ、発熱、だるさ、筋肉痛などだが、通常はどれも1〜2日で収まる。アナフィラキシーショックが起こるのは百万人に1人といわれており、予防接種を過剰に恐れる心配はないといえる。しかしインターネットやSNSでさまざまな情報が氾濫する昨今、ワクチンを接種するのを控える傾向があり、予防接種を受けないことで健康被害が拡大することも危惧される。不確かな情報に振り回されず、信頼できる機関 (左ページ欄外参照)に相談することが大事だ。   大人になっても 受けたほうがいい予防接種 *破傷風菌ワクチン(Td)ー破傷風菌とジフテリア混合。10年に一度無料で受けられる。10年内に複数回受けても良い。特に深い傷を負った場合で、ワクチン接種から5年以上経っていた場合は接種を奨励。妊婦には百日せきも入ったTdapが推奨される。 *A型肝炎ワクチンーA型肝炎に感染している人が素手で扱った食品を摂ることで感染することがある。食品を扱う人や、衛生状態があまり良くない地域に旅行する人などは受けておいた方が良い。 *肺炎球菌ワクチンー予防する肺炎球菌のタイプが23種類と13種類のものがある。前者は65歳以上の人や糖尿病、腎臓病、喘息などの慢性病を持っている人は無料。人によっては5年後に再接種の必要がある。後者は効果が持続するので再接種の必要がないが、ほとんどの場合有料。 *帯状疱疹ワクチンー生ワクチンであるZostavaxとリコンビナントワクチン(病原体のDNAとタンパク質を取り出したもの)であるShingrixがある。後者の方が防止率は高く70歳以上の人への効果も高い。NACI(National Advisory Centre on Immunization)では50歳以上の人にはSingrixを推奨している。両ワクチンとも有料。 *MMRワクチンー特に心配なのは麻疹(はしか)。1970年1月1日以降に生まれた人は麻疹の入ったMMRを2回接種することが推奨される。それ以前に生まれた人は自然に抗体があるのでブースターの接種は必要ない。基本的に無料。 *HPV9ワクチンー子宮頸がん、直腸がん、男性器がん、口腔・咽頭がん、肛門性器疣贅(こうもんせいきゆうぜいー肛門周辺にイボができる病気)の予防に有効とされる。男女ともケースバイケースで26歳までは無料の場合もあるが、それ以降は有料。  特に記載がない限り予防接種は有料だが無料になる場合もある。料金や詳細はヘルスユニットや予防接種をしているドラッグストアなどに問い合わせてほしい。 *「邦人の小児期予防接種と追加接種について」講師 田野島玲大医師 日本とカナダの予防接種  小児期の予防接種に関しては、日本では2019年4月現在、インフルエンザ菌b型、小児肺炎球菌、B型肝炎、四種混合(ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ)、BCG、MR(麻疹、風疹)水ぼうそう、HPV(女子のみ)、日本脳炎が定期接種となっている。ロタウイルス、おたふくかぜ、A型肝炎、髄膜炎菌、インフルエンザは任意接種となっている。一方、カナダ(BC州)では上記のうち日本脳炎は定期接種ではないが、MMR、髄膜炎菌、ロタウイルスは定期接種スケジュールに入っている(BCGはハイリスクの人、A型肝炎ワクチンは先住民のみ)。 日本で育った人がカナダで再接種が必要なワクチンは?  日本では長く三種混合(ジフテリア、百日せき、破傷風)が接種されていたが、2012年11月より四種混合となった。BC州では、成人でも破傷風とジフテリアの混合ワクチンが10年ごとに無料で受けられる。百日せきの接種歴がない、または履歴不明な成人はワクチン接種が無料となっている。ポリオに関しては、1975〜1977年に生まれ、日本で予防接種を受けた人は、ポリオワクチンの免疫保有率が低いため、ポリオウイルスが常在する国(アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアなど)に渡航する際には再接種を考慮したほうが良い。  麻疹と風疹に関しては、単独ワクチンからMMRワクチンへの変更、MMRワクチン接種の中止、MR(麻疹、風疹)ワクチンへの移行などの歴史的経緯があり複雑である。おたふくかぜのワクチンは現在でも任意接種となっている。また日本では、肺炎球菌、B型肝炎、HPVは2013から2016年にかけて、小児への定期接種が開始されているので、それ以前に生まれた人は自分の罹患リスクなどをもとに、ワクチン接種を考慮すると良い。  年齢、育った地域、滞在地域によって接種したワクチンは異なるので、まずは自分がどの予防接種を受けているかを把握する必要がある。その際には母子手帳を参照することも有用だ。また、一度かかると一生かからない(終生免疫)の病気についても、自身の罹患歴を把握しておくことも重要である。 カナダで育った人が日本で住む場合は?  日本で定期接種するワクチンのうち、カナダで定期接種がないものはBCGと日本脳炎。BCGは乳幼児期の結核性髄膜炎や粟状結核などの重症結核を予防することが目的なので、成人期に接種することの意義はないとされている。また日本脳炎は日本国内でも本州以南、特に西日本に感染例が多い。BC州の情報サイトでは、東アジア、東南アジア、西太平洋地方に1カ月以上滞在する人は接種をする必要があるかもしれないとされている。  第2部の質疑応答の際には、講師の2人のほか家庭医の田中朝絵医師と日本で産婦人科医、内科医であった古久保ますみさんも加わって、参加者からの質問に答えた。日本とカナダの小児へのワクチン接種に対するスタンスの違い、811にかけて電話相談をする際の留意点、大人になってからどのワクチンをどのタイミングで接種を考慮するか、などアドバイスも多く聞かれた。  母子手帳の話がセミナー内でも出たが、在バンクーバー日本国総領事館では、海外に在住する邦人向けの母子健康手帳を無料で配布している。これには妊娠、出産、乳児期、幼児期、小学生以降と、子どもが20歳になるまでのさまざまな注意事項やアドバイスなどが記されている。総領事館待合室の棚に置かれているので自由に持ち帰れるが、もし見当たらなかった場合、窓口で尋ねてほしいとのことだ。 *予防接種に関する情報収集・問い合わせ先*・BCCDC(BC Centre for Disease Control) www.bccdc.ca・Immunize BC https://immunizebc.ca・自分の住む地域のヘルスユニット (Fraser Health やCoastal Health)・811に電話して相談することも可能(日本語通訳も有り)・KNOW・VPD!(日本のワクチン情報サイト) www.know-vpd.jp *講師のプロフィール*スティーブン橋本さんファミリー・ナース・プラクティショナーとして、バーナビー病院成人メンタルヘルス外来にてプライマリーケアを担当。また同病院OAT(Opioid Agonist Therapy)クリニックで麻薬系薬物の依存症患者の治療もおこなう。田野島玲大(たのしま れお)医師医師、医学博士、横浜市立大学小児科客員講師。小児科、小児がん、臨床薬理を専門とし、これまで横浜市内の病院や大学病院に勤務。2017年3月よりバンクーバーで小児の薬物治療の研究に従事している。 (取材 大島多紀子)

「胃と腸の話」 講師 スティーブン橋本さん

日加ヘルスケア協会座談会 2019年9月12日 第37号 8月22日、バンクーバーにあるMOSAICで日加ヘルスケア協会主催の座談会が開かれた。今回は、バーナビー・ジェネラル・ホスピタルに勤務するナースプラクティショナーのスティーブン橋本さんを講師に迎えて、胃と腸の主な病気の症状や予防法、大腸がんのテストについての説明がおこなわれた。約30人の参加者は熱心に耳を傾け、質問も多く寄せられていた。(メディアスポンサー:バンクーバー新報) 気になる胃腸の話を分かりやすく説明  座談会の始まりは、アンダーソン佐久間雅子さんがリードするマインドフルネス瞑想。自分の呼吸に意識を集中させる瞑想を15分ほどおこない、心を静めてリフレッシュした気分になったところで、この日の講演がスタートした。 主な胃腸の疾患 ・逆流性食道炎 (Gastroesophageal Refulx Disease、略してGERD)  胃酸が食道に逆流する疾患で、胸やけ、胸痛、胃酸や食べ物の食道への逆流、嚥下困難、吐き気、咳、のどの痛み、声がれといった症状がある。原因は不明であるが妊娠、腹部ヘルニア、喫煙が大きく関係しているといわれている。  避けたほうがよいものは、アルコール、チョコレート、カフェイン、脂っこい食べ物、トマトの入った食べ物、柑橘類など。また、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンといった薬も避けたほうがよいが、他の疾患を治療するために処方、服用している場合、摂り続けるかどうかを医療機関で相談してほしい。生活上気をつけたい点としては、食べた後すぐ横にならない、少ない量の食事を数回に分けて食べる、定期的な運動をして体重を減らすということ。現在の体重の5〜10%くらいを減らすだけでも効果はあるという。  治療には胃薬を服用する。酸の値を下げる抗酸薬、H2受容体の働きを止めるH2ブロッカーといったものが市販されている。また処方薬では、胃の細胞の酸を出す部分の働きを止めるプロトンポンプ阻害薬がある。 ・消化性潰瘍(Peptic Ulcer Disease、略してPUD)  胃や十二指腸の粘膜に潰瘍ができる疾患。みぞおちに腹部痛といった症状があるが、罹患している人の70%が自覚症状がないので、症状が出るとすでに進行している可能性もある。非ステロイド系消炎剤(NSAIDsーアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン等)の服用やピロリ菌に感染していることが原因とされている。ストレスも関係しているとよくいわれるが、その因果関係ははっきりしていない。合併症としては、消化管出血、貧血、消化管穿孔がある。治療には原因となっているものを除去することが挙げられる。 ・ピロリ菌感染(H.Pylori Infection)  ヘリコバクターピロリ菌の胃への感染で、日本では1950年以前生まれの70〜80%、1950〜60年生まれの45%、1960〜70年生まれの25%が感染していたといわれる。胃痛、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、食欲不振、タール便といった症状がある。合併症には、胃・十二指腸潰瘍、消化管からの出血またはそれによる貧血、胃がんといったものがある。除去するには抗生物質など4種類の薬が2週間分処方される。 ・胃がんのリスク要因  ピロリ菌感染、塩分の高い食事、加工食品(缶詰、瓶詰、ソーセージなど)、アルコール、たばこといったものがリスクを高めるものとされている。また、家族にがんの既往歴がある人、一般に東アジア人(日本・中国・韓国)は胃がんのリスクが高い。リスクを下げるには野菜、果物、繊維質のものを多く摂りバランスの良い食事を摂ることが大切である。 ・下痢  大抵の下痢はウイルスや細菌による一過性のもので、特に治療はいらない。原因となる菌はノロウイルス、大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、O-157など多数あり、症状は嘔吐、水様下痢、炎症性下痢(便に粘液や血液が混じる)。細菌感染のものは抗生物質を服用するが、その他の場合は対症療法となる。ただし、脱水症状がひどい、下痢が24時間以内に6回以上起こる、腹痛がひどい、粘液や血液が便に混じる、熱が38.5℃以上(高齢者の場合37.5℃以上でも)、70歳以上の高齢者、糖尿病や心臓病を罹患している人、妊婦、症状が1週間以上続く場合、またレストラン、ヘルスケアやデイケアで働く人は、医療機関に相談したほうが良い。  対症療法は水分補給だが、スポーツドリンクやコップ一杯の水に塩と砂糖をひとつまみずつ入れたものを摂りたい。必要に応じて市販の下痢止めの薬を飲んでも良いが、炎症性下痢の場合は飲まない方が良い。 ・過敏性腸症候群 (Irritable Bowel Syndrome、略してIBS)  慢性的な下腹部の痛みと、便秘傾向、下痢傾向、便秘と下痢の混合型といった排便状態の変化がある。さまざまな食事療法(FODMAP)で対処する。豆類・麦類・りんごや梨などの果物・糖類を除去する、おならを多くする食品(ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ等)、アルコールを除去する、乳製品を除去するといったものがある。また、これらの食品を絶対に摂らないというのではなく「なるべく摂らない」という程度にしたLowFODMAPという療法もある。また適度な運動も有効だ。症状を抑えるために、市販の下剤、下痢止めの薬、鎮痙攣薬(けいれんを抑える薬)を取ることもできるだろう。抗生物質や抗うつ剤が処方される場合もある。 大腸がんテスト (FITテスト)  このテストは50歳から74歳までの人が対象で、通常2年に1回受ける。この検便検査にあたって食事制限や鉄製剤の摂取制限はない。もし、この検査で陽性(Positive)となった場合、内視鏡検査(Colonoscopy)を受ける。  大腸がんになるリスクとしては、遺伝、高身長、赤身の肉や加工肉、運動不足と肥満、繊維不足な食事、アルコール、たばこ、糖尿病、乳がん・卵巣がん・子宮がんの既往、潰瘍性大腸炎・クローン病、大腸ポリープ・アデノーマなどの既往が挙げられる。  大腸がんの予防には、野菜・果物・繊維質の多い食べ物・魚を摂る、運動と体重の減少などがある。また、家族の遺伝要因が大きいので、例えば親が60歳未満で大腸がんになっていたら、その年から10年さかのぼった年齢、または40歳時(どちらか早い方)から5年おきに内視鏡検査を受けるようにしたい。もし親が60歳以上で大腸がんになっていたら、40歳から2年ごとにFITテストを受けることが勧められる。  この講演は、知識として知っておきたい胃腸の疾患について分かりやすいていねいな説明や、市販薬と処方薬の名前なども挙げて役に立つ情報が満載だった。日加ヘルスケア協会では、病気などについてのセミナーや座談会のほか、健康的な暮らしのための役立つ情報を発信している。入会申込みや問い合わせは、office@nikkahealth.orgまで。 (取材 大島多紀子)

「思春期の育ちとメンタルヘルス」講演会

和歌山県精神保健福祉センター所長 小野善郎医師 2019年6月20日 第25号 6月15日、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市のMOSAICで、バンクーバー市での開催は一回目となる「思春期の育ちとメンタルヘルス」に関する講演会(メディアスポンサー:バンクーバー新報)が行われた(ジャムズネット・カナダ主催)。この講演会には、パソコンやスマートフォンを使って、オンライン参加することもでき、ケベック州ケベック市、オンタリオ州トロント市、ノバスコシア州ハリファックス市、BC州ホワイトロック市、ケベック州モントリオール市からのオンライン参加者を含め、総勢約80人が参加した。今回講師は、和歌山県精神保健福祉センター所長の小野善郎医師が務めた。小野医師は30年来、児童の臨床に従事し、近年では主に思春期の高校生へのメンタルヘルスケアに注力している。  思春期とは個人差はあるものの、小学校高学年〜高校生にみられる「子どもから大人への移行期」であり、心身ともに不安定な時期のことを指す。小野医師が思春期の高校生へのメンタルヘルスケアに注力する理由は、思春期の高校生に対応できる専門的な医療・福祉には「空白」があり、その空白を埋めるためだそうだ。児童福祉法に基づけば18歳までを「児童」と定義しているが、児童精神科や思春期外来等は初診対象者を15歳までにするケースが多く、高校生へのケアが行き届いていないという課題があった。そこで、小野医師は2017年4月より高校生外来をはじめ、高校生を対象に子どもから大人への移行期の支援を行い、その経験から学んだことを話してくれた。 『当事者側の』思春期を理解して支援をすることが大切  大人から見た子どもの思春期とは「反抗期」として見られがちであるが、当事者にとってはより複雑なものであると小野医師は言う。当事者にとっての思春期とは、自主性・主体性が生まれ、行動で表現したくなる時期であると同時に、それがうまくいかない時期でもある。この時期の子どもたちには、自己決定をしたいけれども迷いがあったり、責任を取らないといけないという悩みがあったり、自信を持ちたいけれど不安で仕方なかったり…というような葛藤があるものだ。外見的には大人とほとんど変わらないものの、実際には子どもであり、一人では生きていけない。彼らが「自主性・主体性を行動で表現したい」という気持ちがあるからといって「自立できる」というわけではないという。決して見放すことはせずに、支援を続けてほしいと語った。 子育てで大切なのは「関係を維持すること」であり、スキルや戦略ではない  思春期の子どもに対して親(もしくは、子どもに関わるすべての人たち)が何をするかではなく、子どもにとってどんな親であるかということが大切であると小野医師は言う。反抗や対立があったとしても、親子関係の一つであると理解してほしい。子どもの失敗や挫折を受け止め、言い訳を聞いてあげられる唯一の存在として、子どもがいつでも帰ってこられる場所でいてあげてほしいと語った。 高校生に伝えたいこと  小野医師は、思春期を生きる子どもたちにも次のことを伝えたいと語った。自分だけが悩んでいると思ってしまいがちだけれども、決してそんなことはなく、誰もが通る道である。今、自分の人生の中での位置および社会的な位置を把握し、行きたい場所がどこかを見つける作業をしてみてほしい。その位置や行きたい場所、また、それらがわかるまでにかかる時間はひとりひとり違っていてよい。迷ってもよい。悩んでもよい。不安になるのが当たり前である。思春期に満足のいく過程を残すことができなかったとしても、その後の人生において全く問題はない。焦らず、大人のスタートラインに立つことを目指してほしいと語った。  小野医師の「迷ってよい・悩んでよい」というメッセージは、高校生だけでなく、どの世代にも向けられるものではないだろうか。振り返ってみると、記者にも20代の頃、(今のところ)人生で一番辛かった時期があった。しかし、時間をかけ乗り越えた後には「あの時の自分があるから今がある」と思えるようになった。迷い、悩み、落ち込む時期があることはきっと意味のある過程なのだろう。 (取材 わしのえりか)
Vancouver
few clouds
11.8 ° C
14 °
10 °
71 %
5.7kmh
20 %
15 °
17 °
18 °
19 °
17 °

CONNECT WITH US

1,256ファンいいね
2,505フォロワーフォロー

人気記事

新報リポート