第24回 ペトログリフ

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2017年9月7日 第36号

 新学期が始まり、身が引き締まる思いで9月が始まりました。久々に会うお友達やご近所の人とは、夏の思い出話に花が咲きます。いろんな人と話をすることで、「そんなところがあったなんて!」と面白い情報をゲットし、翌年のアクティビティーの参考になります。我が家ではさっそく去年の情報をもとに、今年はペトログリフを見に行ってきました。ペトログリフとはギリシャ語で、ペトロが岩、グリフが彫刻を意味し、日本語では岩絵と呼ばれています。

900年 – 1400年に、アルゴンキン語を話す先住民グループによって刻まれたと言われているペトログリフ

 私の住んでいる首都オタワから車で260 キロほどのところに、ペトログリフ州立公園があり、そこに先住民たちによって彫りこまれたカナダ一の岩絵コレクションがあります。白い大理石に美しく残る絵の数は、約1200 点。900 年から1400 年にかけて、アルゴンキン語を話す先住民グループ(アルゴンキン語族)によって刻まれたと言われています。岩絵には、ナナブッシュと呼ばれるうさぎの形をした精霊や、再生を意味する蛇、魂を別の世界に運ぶとされるカヌー、忍耐・長命・繁殖を象徴する亀など、彼らの生活に深い意味を持つシンボルが多く登場し、なかにはストーリーを語っているものもあるとか。これらの岩絵が、実際に何を意味するかは、先住民や考古学者また歴史家などの間で様々な解釈がされているものの、未だ謎のまま。ここを訪れる私たちの想像が膨らみます。

 またこれらの絵が残っている大きな岩には、深い亀裂が入り、その下に小川が流れているのですが、先住民の間ではそこに精霊が宿っていると信じられており、『The Teaching Rocks』と呼ばれています。小川から発せられる音は、下界から精霊が話しかけている声であると言われています。

 ちょうど私たちが訪問した日には、このThe Teaching Rocks の上に、鳥の羽や乾燥した葉っぱ、そして貝殻が、お供え物のような形で置いてありました。スタッフに聞いた話によると、乾燥した葉っぱは、セージやタバコで、アメリカから先住民グループのシャーマンたちが儀式に来たということでした。現在においても、ここは、アルゴンキン語族だけにとどまらず、さまざまな先住民グループにとって神聖な場所であり、お祈りや儀式などに使われているようです。

■ウェブサイト https://www.ontarioparks.com/park/petroglyphs

神聖な場所であるために、写真、携帯電話、ペットは禁止されている。亀のサインを追ってペトログリフのサイトへ

小倉マコ(ペンネーム)
兵庫県姫路市生まれ。新聞記事、コラム、エッセイ、本の原案、P R記事など主に日本人向けの記事を書くライターとして活動。コミックエッセイ
「日本びいきのハーフっ子と里帰り」イーストプレス「姑は外国人」角川書店の原作者
www.makoogura.com