第37回 Quebec city で「トッケビ」

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2018年11月1日 第44号

 読者の皆さん、こんにちは。紅葉の秋、楽しんでいますか? オタワは秋も終盤に近づいてきました。我が家では、毎年、メープル街道の紅葉がピークになる感謝祭の週末に、ケベック州のモンテベロやモントランブランといった近場で紅葉を楽しんでいるのですが、今年は、思い切ってメープル街道最東端ケベックシティーに行ってきました。オタワからは車で5時間、約440kmと、車が苦手な私にとっては気が遠くなる距離ですが、これが最後のケベックシティー旅行になることを予想して、日本人観光客に人気のシャトー・フロンテナックホテルに滞在しました。

シャトー・フロンテナックホテル

 紅葉ピークシーズンとあり、ホテルのロビーはアジア圏からの観光客でいっぱいでした。遠方から飛行機に乗ってカナダの紅葉を見に来てくれたかと思うと、本当にうれしくなります。ですが不思議なことに、中国人や韓国人と思われる観光客たちの多くはホテルのロビーに入ってきたと思ったら、エレベーター前にある金色の郵便受けに直行です。それをカメラに収めては、サッと消えていく光景が滞在中の3日間、毎日続きました。なぜにこの郵便受けがそんなに珍しい?

 韓国ドラマ通の方はお気づきになったかと思いますが、昨年大ヒットした「トッケビ」のロケ地として、シャトー・フロンテナックが使われ、ファンたちがここにやって来るとのことでした。本ホテルの広報Maxime Aubinさんのお話によると、数年前にメイルシュート(注)の修理をしている際に、第2次世界大戦中に投函されたハガキが階間部に挟まっているのが見つかり内容を確認したら、なんと戦場に向かう兵隊さんが彼女宛てに書いたものだったと。「僕のことを待っていて。戻って来たら結婚しよう」。もちろん、このハガキは彼女の元には届いていません。ハガキを見つけたホテル側はその彼女を探そうと頑張ったようですが、結局見つけ出すことができなかったという、切なくロマンチックな話があります。この話をMaximeさんから聞いた韓国人シナリオライターは、彼女の作品「トッケビ」に、本ホテルにある郵便受けを登場させることに。そしてこの郵便受けは、ドラマで興味深い展開を果たす鍵となります。

アジア圏のドラマファンたちが、ロビーにある郵便受けを目当てにやって来る。実際に手紙を送ることが可能

 シナリオライターがこの話を聞いて「トッケビ」を書くことにしたのか、あるいは、すでに「トッケビ」を書いていたのかはわかりませんが、ドラマの裏話を聞き、この郵便受けがどんな役割を果たすのか気になってしまい、私も早速ドラマを観ることに。初めての韓国ドラマです。トッケビ、おもしろい!(あ〜、でも、ケベックシティーにまで行く元気はないですが…)ちなみに、本ドラマのおかげで、シャトー・フロンテナックへの韓国人滞在客は5倍に増えたといいます。

(注)ビルなどの各階にある郵便投函口で、上から投函された手紙は、すべて最下階に落ちるシステム。

ハガキが見つかったオリジナルのメイルシュート

FAIRMONT LE CHÂTEAU FRONTENAC 
https://www.fairmont.com/frontenac-quebec

小倉マコ(ペンネーム)

兵庫県姫路市生まれ。新聞記事、コラム、エッセイ、本の原案、P R記事など主に日本人向けの記事を書くライターとして活動。コミックエッセイ 「日本びいきのハーフっ子と里帰り」イーストプレス「姑は外国人」角川書店の原作者

www.makoogura.com