第14話 プロポーズは私から

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2019年3月28日 第13号

 とにかく勢いで、どうしても2人でいたかった私たちは、カナダでの同棲生活をスタートさせた。ダダさんはいつも正直、やさしく私を愛してくれる。そんな彼の前では、私の日本人的な建前なんてすぐ崩れてた。というかそんなもの2人の間には必要なかった。最初は6カ月の観光ビサで入国した私、所持金も全然なかった。でもできるだけ長く滞在したいと思った私は、金欠でやばいときは、親のクレジットカードを使ったり、日本人の学生相手に英語を教えたりして小金を稼ぎ、何とかギリギリのところで生活した。住まいは、友人とシェアハウス。そのころの私たちの家賃は2人で300ドルだったかな。お金は全然なかったけど、私はダダさんと一緒にいるだけで良かった。

 この私の小金稼ぎの英語の家庭教師の仕事が、びっくりすることに大当たり。生徒がどんどん増えていった。カナダに留学に来てるのに、何で日本人の先生に教わりたいの?とみんなは思うかもしれないけど、実際、多くの人がネイティブの先生だと、どうも痒い所に手が届かない…じゃないけど、細かい表現とかがむずかしいんだよね。そんなレアな需要に私のサービスがヒット。私はこの仕事にすごくやりがいを感じた。

 私たちは何をするにもいつも一緒、同棲して何カ月たっても、やっぱりダダさんは私のソウルメイトだった。でも実際問題、私は典型的な日本人で、本音は言わない。だから時々フラストレーションがたまる。おまけにうまく英語で表現ができなくて誤解を招き、喧嘩になることも多々。あの頃、ダダさんのことは日本の家族には内緒にしていたから、泣きつくわけにもいかず、頼れる友達もいない。つらい時がいっぱいあったな。ダダさんは私の目を見て、何かもっと言いたいことが絶対にあるはずだから、言うまでは許さないといつも言う。どんなに長く時間がかかろうが、疲れていようが、必ず彼は「喧嘩は絶対に翌日には持ち越さないこと、とことん話し合う」といつも言ってくれた。ダダさんの愛情のこもったこの“digging”(本音を掘り起こす)は20年たった今でもずっとそのまま、でももう今ではダダさんのおかげで、素直に自分の意思を表現できるようになれた。ダダさんははっきり言って、カナダでの私の育ての親みたいなものだ。

 しかし、いっぱい愛し合い、喧嘩もたくさんした私たちのとっても濃い1年の同棲生活が終わろうとしていた。私はダダさんとの関係を自分なりによく考えてみた。帰国しなければいけない時期は、もう私の目の前に差し迫る。6カ月の観光ビザをもうすでに一度延長していたし、しかも所持金もない私には、カナダにこれ以上滞在できるチョイスがなかった。当時、たくさんの日本人の女の子が結婚を本当はしたいけど、それはかなわず、でも彼と別れたくないから、日本とカナダを行ったり来たりして時間を無駄にしている子がいた。そんな彼女たちを見ていて、“私は愛している女と結婚する決心ができないようなダメ男のために、自分の人生を棒に振るつもりはない”と思った。よく考えたうえで、私が出した結論は、“やっぱり私にはダダさんしかいない”ということ。私の帰国の日も差し迫る中、私は一大決心をした。

 私はダダさんに、「話がある…」と切り出し、「観光ビザがもうすぐ切れるから帰国しなければいけないけど、観光ビザでカナダに戻って来るつもりはない。私と結婚する覚悟が今ないんだったら、4歳年上の私の時間の無駄になるから私は日本に帰る。どうする?」当時23歳の若いダダさんが、その時はまだ結婚したくないことは知っていた。でもあえて私は、こんな直球を投げてみた。彼は真面目な顔で、「何か強迫されてる感じがする。でもちょっと考えさせて」と言って部屋を出て行った。2〜3分して帰ってきた彼は、手にアルミホイルで作った指輪をもって、「Will you marry me ?」と私に言った。

 そう、これが私たちの思い出に残る、プロポーズ。彼は、「結婚を最終的に決断したのは自分だから、プロポーズは自分からしたんだ」といまだに言いはるけど、私的には、私がプロポーズしたと思ってる。ということで私は、今時流行りの肉食女子をかなり先取りしていたという感じ?! 

ドナルド涼子
BCRPA Fitness Presenter,Yoga Teacher.
48歳、愛知県出身、
2016年ベストインストラクター賞を受賞。43歳の時に、ボディービルのビキニコンペティションを趣味として始め、優勝、上位入賞する。フィットネスプロフェッショナルへの講習、地域の学校でのヨガ、フィットネス指導、心と体の健康と幸せの為の講演活動を行っています。
こんな肩書を持つ私ですが、若かった頃は、デブ、ネガティブ、ずっと自分の事が大嫌いだった。このコラムでは、そんな私が、どうやって健康で幸せな今の自分に変身したかのお話です。
涼子のフィットネスプログラムは、YouTubeもしくはNikkei TVにてご覧いただけます。
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