第16話 新婚生活

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2019年4月25日 第17号

 日本で私の家族と友達だけを招待してやった小さななんちゃって結婚式を挙げた後、私たちは早速新婚生活を始める準備を始めた。ダダさんは先にカナダに帰って家探しを始め、私は、最低限必要な物をスーツケース2個につめて、カナダにまたしても観光ビザで再入国。

 そんな新婚早々の私たちの愛の住処?!とは、ダダさんが育った少し汚い地区のイーストバンクーバーの築50年は軽く経っているであろう超オンボロ家。しかもむさ苦しい3人のダダさんの友達とシェア。一人はドラム大好き、でも真面目なメカニックのダダさんの高校からの親友、もう一人はプロカメラマンを目指すロン毛のバンドマン、もう一人はパンクなフリーター小柄な金髪君、みんな20歳そこそこの小僧たち。さてこの家、新婚の新居と呼ぶには程遠く、とにかく汚い。いわゆるジャンクハウス。私はこんな私の夢の新婚生活とは全くかけ離れている現実をできるだけ見ないようにして、ダダさんとの新しい生活を始めることだけに自分の幸せ感を集中させた。この家のベースメントが私たちのスペース。小さなキッチン、バスルーム、しかもキャビネットが全部壊れてて、ボロボロ。小さなベッドルームと小汚いリビングルームがあった。その奥には物置と洗濯室。ネズミ(ラットとマウスの両方がいっぱいいた)の糞がそこらじゅうに散乱している状態。上の階は、3ベッドルーム、リビングとキッチンとバスルーム。汚いカーペット、壁もそこら中にしみだらけ。私たちの家賃は500ドルくらいだったかな、3人の男たちが上の階をシェアすることになった。

 そして、住んでるところとは別で、私たちは両親からもらった結婚資金を頭金にして、ダウンタウンに2ベットのコンドを買った。買ったコンドになんで住まなかったかと言うと…そのころのダダさんの収入が安定してなかった。それと私も移民したばかりで仕事をしてなかったから。当時のローンは700ドル/月 プラス維持費。これを払う自信がなかった。というわけで、買ったコンドはずっと人に貸してた。私の本音は、買ったコンドで新婚生活をはじめたかったんだけど、年下のエビの行商人と結婚したからしょうがないってことで我慢した。でもその頃の私にはダダさんを将来成功させる計画がしっかりあった。結婚を決めると、ダダさんにエビの行商はやめてほしいって頼んだ。将来成功するためには、ジプシーのような仕事をしていてはだめだって。ダダさんの興味のある分野で、しっかりしたキャリアを積むことを勧めた。それを聞いてダダさんは、学生の頃建設会社でアルバイトをしていたことがあって、もちろん興味があったから、その会社で雇ってもらうことに決めた。そう、この会社が今の彼がオーナーの一人として経営に携わり、今の彼を成功に導いた会社。あの頃、まだ若いダダさん、スキルも何もなかったから、見習いからのスタート。当時の最低賃金は…10ドル程度だったかな。時には見習いのダダさんには仕事が途切れる時もあったりで、しばらくは経済的にすごく大変だった。でも私は、ダダさんがエビの行商から卒業してくれたことをうれしく思っていた。

 当時、私は自分に言い聞かせていたことがあった。“年下のエビ売りと結婚をした自分。どんなに貧乏で辛くても、5年間だけは我慢してやっていこう。そして彼が成功する男になるのを手伝う。ただし、5年以内にダダさんがレベルアップしなければ、離婚して日本に帰る”と。

 これは、私の自分に対する約束、けじめ、カナダで生きていく覚悟。ダダさんは人一倍、成功したいと思っている人だということを私は知っていた。だからそれを信じて私は彼についていき、一緒に頑張っていきたいと思った。

 私たちの新婚生活は一言で言うと、貧乏生活。私の出身の中部地区は、とにかく嫁入り道具が豪華で有名。ブランドの食器、家具をそろえたりとか、正直ちょっとあこがれてた。私はというと、親が準備してくれていた結婚費用を、全部コンドを買うのに使っちゃったから、新婚生活用品はすべて貰い物と中古品。でも、私は、そんなの全然気にならなかった、だって私にはダダさんがいたから。

ドナルド涼子
BCRPA Fitness Presenter,Yoga Teacher.
48歳、愛知県出身、
2016年ベストインストラクター賞を受賞。43歳の時に、ボディービルのビキニコンペティションを趣味として始め、優勝、上位入賞する。フィットネスプロフェッショナルへの講習、地域の学校でのヨガ、フィットネス指導、心と体の健康と幸せの為の講演活動を行っています。
こんな肩書を持つ私ですが、若かった頃は、デブ、ネガティブ、ずっと自分の事が大嫌いだった。このコラムでは、そんな私が、どうやって健康で幸せな今の自分に変身したかのお話です。
涼子のフィットネスプログラムは、YouTubeもしくはNikkei TVにてご覧いただけます。
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