第24話 流産

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2019年7月11日 第28号

 2002年、あの頃の私は、ダダさんの仕事の簡単な経理の手伝い、育児、家事、育犬、家庭菜園の世話などをして過ごす毎日。そして英語を日本人の生徒に教えたり、空いている部屋を日本人留学生に貸したりして、生活も落ち着いていた私に、次なる願望がわいた。

 なよみが3歳になる頃までには、二人目が欲しくなった。このころのダダさんはと言うと、以前の若くて遊びたい盛りのダダさんとは別人のようになり、仕事に一生懸命、もちろん遊ぶけど以前とは全く違って、落ち着いてきた。そして二人目が欲しいという私に対し、今回は初めてダダさんは 「うん、自分も2人目を迎え入れる心の準備ができている」と言ってくれた。私は、幸せの絶頂にいたかな。普段の彼の行動を見ていれば、そのことは私はもう知っていたのだけど、やはり言葉で言ってもらうと、私のこれまでの苦労と我慢が一気に報われた瞬間だった。あれだけやんちゃだったダダさんが、結婚して4年も経つと、すっかり素敵な旦那さんに。私は結婚した時に、自分に約束していた“5年はどんなことがあっても我慢する”が思ったほど早く、いい方向に向かっていることに気づいた。

 私は幸せ者だと思ったし、私のダダさんに対する考えは間違いなかったとさらに確信した、で、ここまで何とか乗り切ってきたのだから、この後は、どんどん楽になるはずだと思った。そんなこんなしているうちに、私は幸いにもすぐに第二子を授かった。めちゃくちゃ嬉しかったし、きっと男の子だと私は思って毎日いろいろイメージしたり、名前を考えたりして過ごした。なよみの時とは違い、今度は、もっと私には心に余裕があって、幸せな夢がどんどん大きく膨らんでいった。でも、その後すぐにこの妊娠はとても悲しい終わり方をすることになった。

 妊娠11週目を過ぎたある日のこと、急に出血が始まり一向に止まらず、急いで病院に行ったんだけど、先生に「流産をしていますから、もう何もできません」と言われた。後からいろいろな人に聞いて分かったんだけど、こういった早期の流産はとてもよく起こることだということ、そんなことは私は全く知らなかった。たったの11週間だったとはいえ、私の中では、もうすでに私のかわいい赤ちゃんという認識がしっかりできていたし、将来のプランも立てていた。ものすごくショックで家に帰ると部屋にこもってずっと泣きどおし。

 そんな時、ダダさんはあまりにも落ち込んでいる私に対してどうしていいのか分からず、友達と仕事帰りにビールを庭で飲む始末。ダダさんにとっては妊娠が分かってすぐだったから、実感がない。きっと私がこの世の終わりかのような勢いで悲しんでいて、どうしていいのか分からなかったのかな。彼はきっと状況を客観的に見て、早期の子宮癒着ができなくてよくある流産だということを理解していた。だから感情的になる必要はないと。今となってはそれは私には理解できるけど、あの時の私は、この世の最悪の悲劇が起こって、部屋に閉じこもり泣きじゃくる。外から聞こえてくるダダさんと友人の笑い声を聞きながら、「この人と結婚したのは間違い?」またしてもこんなことを考えざるをえない自分がいた。ダダさんが私と同じ価値観を持っていないことに対して、ものすごく腹が立ったし、しばらく私たちの関係もギクシャクした。

 でも、何日かしたある日のこと、ダダさんのお父さんの一言で、私の考え方が変わった。お父さんは「エルトン(ダダさん)はつらいことがあると全く他のことをして、それを考えないようにするタイプの人。だからといって彼が流産、私に対して関心がないわけではない。人にはそれぞれの問題から逃避するやり方があるんだよ」と言った。それを聞いて、確かにそうだと思った。私は泣いて思いっきり自分の悲しみに浸り、それに疲れたらそこから出てくるタイプ、ダダさんは違うタイプということに気づいた。それまでの私の心のもやもやが、すっとどこかへ行ってしまった瞬間。結婚というのはやはり、二人の違いを理解する努力の積み重ねなんだよね。

ドナルド涼子
BCRPA Fitness Presenter,Yoga Teacher
48歳、愛知県出身
 2016年ベストインストラクター賞を受賞。43歳の時に、ボディービルのビキニコンペティションを趣味として始め、優勝、上位入賞する。フィットネスプロフェッショナルへの講習、地域の学校でのヨガ、フィットネス指導、心と体の健康と幸せの為の講演活動を行っています。

 こんな肩書を持つ私ですが、若かった頃は、デブ、ネガティブ、ずっと自分の事が大嫌いだった。このコラムでは、そんな私が、どうやって健康で幸せな今の自分に変身したかのお話です。

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