第109回 「iPad&デジカメ クラス」 

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~グランマのひとりごと~

 影の様に
 寄り添っている、
 何者か。
 おかげさま。
 おかげさま。

 じぶんの力より もっと大きな力たち。応援、支援をしてくれる。神と 仏と よき友と……。 小林正観かぁ。好きだなぁ、彼の一言。

 リッチモンドにiPad同好会(?), 正式になんと呼ぶかグランマは知らない。ボランティアの若い女性が中心で教えてくれる。クラスには20数人いるが、IT知識レベルはそれぞれ違うようだ。互いに教えあっている。もともと有料のクラスが以前あり、そのコース終了後に有志が無料で同好会を開いたと聞いている。

 グランマの参加2回目の日、隣席者に作動法の質問する。その人は気持ちよく教えて呉れた。それ以後、グランマは教えてくれそうな人の隣にスルーッと座って、何回かこの楽しいクラスに参加した。休憩時間もある。皆が手製の菓子やら種々のスナックを持ってきてお茶をする。それがまた嬉しい。料理上手が沢山いる。

 ただ、グランマはそのクラスに入った初日、iPhoneだけでiPadは持って居なかった。要するにiPadを手にしたことのない人だったのだ。

 随分、昔だがリッチモンドのJTBが会場で「デジカメ教室」が開催された。今泉慶子さんが先生だった。クラス開始日の朝、会場へ行く途中、グランマはデジカメをロンドンドラッグスで買って箱入のまま持って行った。其れ迄、デジカメに触ったことがなかったのだ。

 要するに、グランマはiPadやデジカメがどんなものかを知らずに、教えて貰おうと出かけて行く。「無茶」と言うか、無謀人物なのだ。ただ、その学ぼうとする「気力」と「意欲」で、何とか幾らかの知識は必ず得る。やがて自分なりに何とか機械を使えるようにはなっている。

 ただこれらのコースを一緒に学ぶ人の多くは、専門家並みの力量の人達が沢山いることは確かだ。だからもちろん「やがてグランマは落ちこぼれになっていく。」その 知識の無さで、馬鹿にされたり、呆れられたり、気の毒がられてはいるのだろう。それでも、皆、優しいし、本人は楽しんでいる。

 更に昔だが、ランゲラ カレッジで3ケ月のコンピュータ(PC)初心者コースを受けた。そして、3ケ月たった。何も分かっていない。仕方がない、同じコースを又受けた。

 6ケ月目、コース終了試験終了時、先生と助手が出口でニコニコしながら「See you again! 」と言った。そして、グランマは「Do I have to come again?」と聞いた。そして、3人で大笑いしたのだった。やはりグランマにとって6ケ月は必要だったようだが、本当に良く教えて貰い、「だから、今がある」と思って居る。

 昨年の今頃だった。iPadクラスでお世話になった隣席者の奥さんが、お菓子を届けてくれた。外出できない老婆を思ってくれたのだろう。それは美味しい手製菓子だった。 

 本当にそんな楽しいiPadクラス、ところがこのCOVID-19でクラス集りは無くなった。「淋しいなぁ」と思って居たら、なんと「LINE」にグループが出来たのだ。

 毎日、誰かが記載している。自然大好きメンバーが小鳥の巣立ちを忍耐強く撮影し掲載。逞しい白頭鷲の飛び立ち、美しい朝日に夕日、たなびく雲、満月、三日月、花々の芽生え。

 何もないと思って居たリッチモンドがこれほど美しく自然に恵まれている事を知った。何気ない日々を全身で明るく受け入れ、撮影し「LINE」で、皆と分かち合うこのiPad グループの人達。

 「こんな落ちこぼれグランマ」にも、彼らの写真、動画が満載された「LINE」から、皆の思いが伝わってくる。ああ、有難い、今は「IT」の時代なのだぁ。

 そうだ!ふっと気が付く。「ああ、あのJTBの2階で始まった、デジカメ クラス!」。そうなのです。あのデジカメ クラスの人がなんと何名かこのiPadクラスにも入っているのです。「ああ、あの美しい写真、あれはデジカメ クラス出身者の撮影」だったぁ。

許 澄子

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 好評の連載コラム『老婆のひとりごと』。コラム内容と「老婆」という言葉のイメージが違いすぎる、という声をいただいています。オンライン版バンクーバー新報で連載再開にあたり、「老婆」から「グランマのひとりごと」にタイトルを変更しました。これまでどおり、好奇心いっぱいの許澄子さんが日々の暮らしや不思議な体験を綴ります。

 今後ともコラム「グランマのひとりごと」をよろしくお願いします。