復活したアフガニスタンのタリバン(前編)

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2021年8月31日

 桂川 雅夫

 このところの世界の最大関心事は、新型コロナ問題を除けばアフガニスタン(以下アフガン)のタリバンのカブール占拠だと思う。

 米国は日本円換算で約250兆円の戦費をこの20年間に費やし、同時多発テロ組織のアルカイダをかくまったタリバン政権を、崩壊すべく戦ったがそれは実現せず、アフガンから撤退する。

 8月23日のNHKのニュースで、アフガン在留の邦人やこれまでの現地人の協力者の国外退去のために、日本は自衛隊機を派遣すると加藤官房長官が発表し、翌24日朝自衛隊輸送機C-2と2機の輸送機C-130 が出発した。アフガンのカブールから隣国パキスタンのイスラマバードに運ぶべく、期限は8月末までということで、タリバンとの間で合意ができているという説明だった。

 タリバンは首都カブールに8月15日に侵攻し、国外に退避したガニ大統領の居た大統領府を占拠した。16日には米国、英国、ドイツ等の日本を除いたG7の国は、現地に駐在するそれぞれの国の政府職員を、アフガン国外に避難させるべく行動を開始し、英国は26日の時点で全部で15,000人を既に撤退させ、2万人の難民を受け入れれると云う。

 ドイツは26日までの11日間に、自国民の約500人と45ケ国の約4,500人(その内アフガン人約4,000人)の合計約5,000人を撤退させたと発表した。フランスもまだ残る者がおり、国連に後を託し中立地帯を設けるなどを、提案したいとマクロン大統領は云っている。

 カナダは約3,700人を撤退させたが、一部のカナダ人とカナダ協力者のアフガン人が残っていると云い、2万人のアフガン難民を受け入れると云っている。韓国は390人を、ロシアは500人を撤退させ撤退作業は完了したと云う。

 米国は30日の時点で、合計約125,000人をアフガンより移送し軍事作戦は終了したが、500名程度の米国人とアフガン人の移住希望者が残っていると云い、バイデン大統領はアフガン人の難民申請を簡素化すると云っている。

 これに対して日本のアフガン退避行動はやっと上記のごとく23日に開始された。何故G7の他国に比べて1週間以上10日近くも遅れたのか。更にカブール空港までは自己責任で来る様にということであるために、移送作業は難航しており、やっと27日に15名(邦人1名と日本協力者のアフガン人14名)をイスラマバードに運んだ。

 前日の26日には空港に向かった20台のバスは、爆弾テロ騒ぎで治安状態の悪化のために、途中で引き返し空港にたどり着けなかったという報道もあった。その後30日現在退去者の搬送は実現していないが、約500名が日本への移送を希望していると報道されている。

 NHKがタリバン報道官と連絡をとった結果では、不快感を表すも、米軍撤退期限後でも、旅券とビザを持つ者の出国を認めると云っている。併し(しかし)、各国の政府機関がアフガンから退去した後に、ビザの発給は見込めない状況であり、その実現性は不透明だと報じている。

 米国のメディアとの比較で、日本の記者会見場などでの日本のメディア関係者の真相究明のための行動が物足りない。

 キャスター達が自らの考えや主張を述べて、評論家や学識経験者を招いて喧々諤々と論じ合う米国のTV番組と比較し、NHKのニュースなどの番組では、国民誰もが疑問や関心を持つ上記の様な事柄に、ほとんど真相究明のための努力をせず、聞いた情報の右から左への伝達という広報活動どまりだ。

 それはほんの時々現れる論説者の仕事だというのでなく、或いは専門家に説明を依頼するのでなく、欧米メディアのごとく日々のニュース番組で、世界に通用する様な見識を備えたキャスターが、何故そうなのかも解説しえる、核心を突いた報道をするメディアになってほしい。

(後編に続く)

                                         

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