第62回 難民/避難民/準難民

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碧眼、金髪、白い肌

 先日日本のある友人とスカイプで話しをした時、ウクライナ戦争で祖国を追われ逃げ惑う人々が話題に上った。

 つい最近の日本からのニュースでは『ウクライナ侵攻に伴う避難民の受け入れのために、難民条約上の「難民」に該当しない紛争地からの避難民たちを「準難民」と位置付ける法的枠組み制度の創設を検討している』とのことで、当然ながら友人もそれを知っていた。そこで「日本ではその純難民が550余人になったとかだけど、一般の人たちの反応はどうなの?」と聞いてみた。彼女曰く「個々の市町村にもよるけれど、随分と盛り上がっていて、手を差し伸べる公共の団体や組織も多く、また有名人もかなりいるのよ。黒柳徹子もその一人」と言う。

 続けて「それにしてもウクライナの女の人達って綺麗な人が多いわね。特に子供は可愛らしいの。ああいう人たちが戦火に追われて自国を後にしていると思うと何とかしてあげたいと思うのよ」との返事が返って来た。

  私は「なるほどね…」と思いながら、ちょっと意地の悪い質問をぶつけてみた。「じゃあ、見た目が良いと同情を買う率が高いってことね?」と言うと「そういうわけではないけど…、ニュースなんかで白い肌で青い目の金髪の子供が、お人形なんか抱いてじっと母親の傍にいるのを見ると、やはり涙をそそられるわ」との返事。

 この会話で私の脳裏に浮かんだのは、戦争が始まって10日ほど立った3月初旬、あるニュース媒体が流した「『青い目の人々が殺されるのは感情的になる』報道が露呈する人種差別」と言う記事であった。これは英国の某放送局のインタビューに、ウクライナの元次長検事が上記のように答えたものだった。後にジャーナリストはその場で異議を唱えなかった事を陳謝したが、他にも「ウクライナはイラクやアフガニスタンのように何年も紛争が続いている場所とは違う」といった比較論的な記事も掲載されていたのを思い出す。

 世界を揺るがし終息の見えないウクライナ戦争。奮闘するジェレンスキー大統領の勇気を讃え、彼等に手を貸す欧米諸国の中にも、政治的な意味合いばかりではなく、口には決して出さないまでも、人種に対する隠された同情的感情があるのかもしれない…と、ふと考えさせられてしまった。

日本の難民受け入れ問題 

 アジアの国々の中で唯一G7の一員である日本は、最初の内は仲間と足並みを揃えることに息せき切っている感があった。だが最近は、ウクライナ侵攻のロシア軍による殺害行為を「戦争犯罪」だとする欧米の意見に賛成する首相を「支持する」が88%を占め、岸田内閣の支持率も55%で政権発足以来最高になったと言う。

 とは言え難民問題は日本政府の政策の中で、一番不得意とする分野であることは広く知られている。今回は「準難民」と言う形で対処することになるようだが、それは流出するウクライナ難民500万人の内の0.011%でしかない。

 もちろん諸々の政治的条件はウクライナとは全く違うものの、去年ミャンマーの国内で起こった暴動の際に、国軍に迫害を受ける恐れのある多くの人々がいた。だが日本政府が難民と認めた人は殆どいなかったとされ、加えてアフガニスタンからの難民も民間人が手を貸している以外には皆無のようだ。

 何はともあれこのウクライナの人々を「準難民」と制定するのを機に、日本政府、日本国民は長い間の懸案である難民問題、ひいて移民問題にもしっかり向き合い開かれた国になる事を心から願っている。

ウクライナをサポートする日本の人々。Photo courtesy of Keiko Miyamatsu Saunders
ウクライナをサポートする日本の人々。Photo courtesy of Keiko Miyamatsu Saunders

サンダース宮松敬子 
フリーランス・ジャーナリスト。カナダに移住して40数年後の2014年春に、エスニック色が濃厚な文化の町トロント市から「文化は自然」のビクトリア市に国内移住。白人色の濃い当地の様相に「ここも同じカナダか!」と驚愕。だがそれこそがカナダの一面と理解し、引き続きニュースを追っている。
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