243 ☆「守る」の語源にびっくり !

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外から見る日本語

日本語教師  矢野修三

 日本で信じられない事件が・・・、安倍元首相の銃撃事件である、テレビニュースの画面だが、あのような映像を目の当たりにして、強い衝撃を受けた。守りに対する警備体制に問題ありと、その後のニュースでもいろいろ報じられている。

 このような「守り」に関する記事を読んでいて、かなり前だが、とても困った日本語上級者からの質問を思いだした。

 まず、なぜ「めぶた」ではなく「まぶた」ですか、である。最初は質問の意味がよく分からなかったが、英語ではeyelid で「目のふた」であり、確かに生徒にすれば、「め+ふた」のほうが分かりやすい。なるほど。

 さらに、「目の当たりにする」はなぜ「まのあたり」と発音するんですか。うーん、当時、「目」を「ま」と読む理由もはっきり分からない日本語教師としては大弱り。「ま」と読むこともあり、ルールだから覚えて、と説明するのがやっとであった。

 この「目の当たりに」を「めのあたりに」と言っている若者もかなりおり、日本人でもこの「目」の読み方はややこしい。生徒に分かりやすく説明するにはどうすればいいか、いろいろ考え調べた。

 そして、この「守る」の語源に出合った。この「まもる」の語源、驚いたことに、「目(ま)+守(も)る」とのこと。すなわち、「目を離さずじっと見る」が由来。えー、びっくり。それゆえ、「目」の訓読みに「ま」と「め」があり、特に「ま」は古い用語や慣用句などに使われている。なるほど、それまで「守る」を辞書で調べたことなどなく、とても納得した。

 上級者には、「守る」の語源を話して、大部分は「め」だが、古い言葉などは「ま」を使うものもあり、注意して覚えて、と説明に少し余裕が持てるようになった。 

 確かに、「めぶた」や「めばたき」でも通じるが、やはり「まぶた」や「まばたき」でなければ馴染めない。でも目尻(めじり)や目頭(めがしら)は「め」。実にややこしい。「め」か「ま」かの特別な決まりなどなく、昔から慣れや言いやすさなどで使い分けてきたようである。「帽子を目深に」は「まぶか」であり、「目新しい」は「めあたらしい」。うーん、漢字を見ると「め」か「ま」か、戸惑ってしまう。これらはひらがな書きがいいかも。

 この「守る」の語源を考えると、日本語教師として、安倍元首相の銃撃事件、やはり守りの体制に大きな問題が・・・。犯人の行動を全然見ておらず、目(ま)+守(も)っていなかったのでは、と思えてならない。

 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

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