「着物でお出かけ」

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カナダde着物 

第4話 季節*中秋の名月 

 暦の上では今年の十五夜は10月1日でした。実は本当の満月は10月2日だったそうです。今回はアメリカからの煙の影響で、ベールの中にあるような幻想的な月を見られた方も多かったのでは。

 インディアンサマーと呼ばれるお天気の良い日もありますが、やはり風や光そして陰は徐々に冬へと向かっている気配がします。

 茶道の世界では10月を“名残月(なごりづき)”とも呼びます。華やかな夏とは対照的に寂びた淋しい感じを表しています。去り行く秋を名残惜しむ日本人らしい感情ですね。

 そして10月になりますと、日本では猫も杓子も衣替えとなります。街で見かける学生さんたちが一斉にブレザーなど冬の装いになりますね。衣替えは日本らしい季節の風物詩のようです。

 着物の世界では単衣ひとえ(*1)から袷あわせ(*2)に変わります。大きく分けますと、着物全体に裏地があるかないかで見分けられます。今月から来年5月頃まで着ますので、1年の殆どは袷の着物を着るということですね。

カナダで眺めた中秋の名月 Photo © the Vancouver Shinpo
カナダで眺めた中秋の名月 Photo © the Vancouver Shinpo

「カフェde着物」

 まだまだ世の中はコロナ禍が続いていまして、カフェやレストランへのお出掛けが難しいのですが、条件の下、パティオのあるカフェなどで愉しまれるのはいかがでしょうか?

 私はカフェの雰囲気に合わせてカジュアル着物を選びます。低価格品、中古品、母の若い頃のもの、そして頂きものでしたら、必要以上に汚れることを気にせず食事にも出掛けやすいです。

 しかしカナダで着物で出掛けることに抵抗がある方もいらっしゃるでしょう。目立つから嫌だな、変な人に話しかけられたらどうしよう、などなど、当地で着物を着ることはちょっと恐いと思われるかも知れません。私も当初はそうでした。

 日本在住着物ブロガーのように、どこでも着物で出掛けるとは行かないですね。なので当地でのちょっとした気をつけたい点をいくつか紹介させていただきます。

フレーザー通りにあるオーガニックカフェ*お店のテーマカラーに合わせました  Photo © コナともこ
フレーザー通りにあるオーガニックカフェ*お店のテーマカラーに合わせました  Photo © コナともこ

「事前に着ていく場所と目的は考えておきます。」

 不特定多数が集まる場所や道では、目的もなくふらふらと歩かず、すーっとその場から消えていくように、さーっと歩くのがお勧めです。

 残念ですが、着物やアジア人への差別的な考えの人々がいるのも事実でして、特にひとりで歩く時は気をつけたいものです。日本とは違う環境ですので身の安全を第一に行動されて下さいね。

 でもでも、安全に楽しく行ける場所もいっぱいありますので、これからコラムでご紹介していきますね。“着物でインスタ栄え”するお店や公園もありますよ。

 日本のお友達やご親戚に写真を送ったら、驚かれることでしょう。

「いい雰囲気のお店に出掛けましょう」

バーナビーにあるカフェ*La foretにて。店内は広くてインテリアも植物が多くて落ち着きます。カジュアルな銘仙着物と半幅帯で気軽に装いました Photo © コナともこ
バーナビーにあるカフェ*La foretにて。店内は広くてインテリアも植物が多くて落ち着きます。カジュアルな銘仙着物と半幅帯で気軽に装いました Photo © コナともこ

 まず、訪れるお店や場所は清潔で安全でしょうか。お店のコンセプトが明らかであり、こだわりのあるカフェやレストランに着物で行きますと、お店の方々にとても喜ばれ気持ちのよい接客を受けられることがあります。

 知的好奇心のある礼儀正しいお客さん達が集まるお店では、あちらは一目で私たちが日本人だと分かりますので、日本について質問されたり、新しい出会いもあるかも知れません。

「社交の場、パーティーでは大活躍の着物」

 出会いといえば、パーティーですね。こちらではカップルでの参加もよくありまして、パートナーの会社や趣味グループのパーティーでは知らない人が多く、会話が苦手な人にとっては、地獄の時間となってしまいます(あら、私のことかも知れません)。

 食事がビュッフェだとしたら、席と食べ物の間を往復し続けてしまう“パーティーあるある”事情をどうにかしたいものです。それでも話をしたくないということではなく、共通点が見つからないだけで、話しのきっかけを探しているのです。

 政治や宗教の話は避けたいですし、個人のことを根掘り葉掘り聞くのもな~という時、服装やそれに伴う文化の話題はとても便利です。

 お相手が民族衣装でいらしていれば、話の準備ができますし、個人的な話もスムーズに入りやすいですね。ということは、こちらが着物ですとお相手も同じように話しかけやすいかも知れません。

 着物をコミュニケーションツールに使い、お友達の輪を広げていきましょう! 

(*1)単衣ひとえ 主に6月頃~9月頃まで着られる生地が1枚仕立ての着物です。薄い生地を守るために裏布が縫いつけられているものもあり、単衣には色々な仕立て方があるそうです。単衣のウールや木綿の着物は、袷の時期でも自宅でのパーティーや習い事のお稽古着などで活躍します。

(*2)袷あわせ 二枚の生地が重なって仕立てられている着物です。袷ならではのおしゃれ、八掛は、裾回りに見える裏地です。ちらりと表地と違う色が見えたら素敵ですね。

 着物の格によって、比翼(ひよく)のような重ね襟がついているものもあります。

「秋の豊作をイメージした、黄八丈」

 鮮やかな黄色い彩色が特徴的な黄八丈という、草木染の絹織物があります。八丈島が本場でこの名前が付いたと聞きますが、秋田県にも違う植物で染めた秋田黄八丈があるそうです。

 植物からの煮汁を使い秋初頭に染め始めるそうなので、黄八丈は秋の豊作と重なります。

 紬ファンが草木染にも心奪われるのは、植物の生命力と自然色彩の美しさが理由でしょう。この草木染の中に黄金のような色が出るイネ科の雑草があり、紬着物が“織物のシンデレラ”でしたら、こちらのコブナ草は“草木染のシンデレラ”なのでは。



「お寺で七五三のお祝いしませんか?」
 10月の日曜日、バンクーバーアイランドから素敵なご家族が七五三のお祝いの参りとお嬢さまの記念撮影の為にコキットラム市にあります東漸寺へいらっしゃいました。

 最初は緊張気味な小さなレディー。振袖をまとうと目が輝き始め、とても上品で凜とした佇まいへと変わりました。これが着物マジックです。

 和の学校@東漸寺では、今年も七五三のお祝いをお手伝いいたします。ただ、昨年までのような合同のご祈祷などは出来かねますので、完全予約制の個別で着物レンタル、着付、記念写真撮影、ご祈祷などを承ります。

 詳しくはコナまでお問い合わせ下さいませ。

日時:随時受付けております。

*サンデープラン*
毎週日曜日、午前10時と午後1時のお席を設けております。
(ご予約状況により、ご希望に添えないこともございますので、ご了承下さいませ。)

会場:東漸寺館内 209 Jackson St, Coquitlam 
お問い合わせ コナともこ tands410@gmail.com
和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/

去年お参りに来られたご家族 © 七五三@Tozenji、 Photo by Yukio Hiranabe
去年お参りに来られたご家族 © 七五三@Tozenji、 Photo by Yukio Hiranabe
カナダで楽しむ着物の世界のkona tomoko コナともこさん

コナともこ
 アラフィフの自称着物愛好家。日本文化の伝道師に憧れ日々お稽古に励んでおります。
 10年前からコキットラム市の東漸寺で「和の学校」を主宰。日本文化を親子で学び継承する活動をしております。
 カナダ人の夫+高校生と大学生3人娘+老犬1匹と暮らしております。バンクーバー近郊在住。 

和の学校ホームページ https://wanogakkou.jimdofree.com/
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