スティーブストン日本語学校60周年記念 3

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 2020−2021年はスティーブストン日本語学校創立60年の記念の一年です。本校は創設以来、日本の言語や文化をコミュニティーに伝える役目を果たしてきましたが、新型コロナウィルス感染拡大により、現在学校での対面授業や行事が行えない状況が続いています。(2020年4月より、授業はZoom にて行われています。)

 そこで、2020年10月より2021年6月まで、2ヶ月に1回、保護者・生徒に向けて60周年記念ニュースレターを発行し、学校の歴史を伝えていくことにしました。

 今回、「バンクーバー新報」にもその記事を投稿し、一人でも多くの方に本校の歴史とコミュニティーへの貢献、そして本校の存在意義を知っていただけることを願います。

第3回:新しい建物と学校の拡大

 1960年9月、スティーブストン日本語学校はスティーブストンコミュニティーセンター内に正式に開校しました。幸運なことに、日本語のクラス用にセンターの数部屋が無料で使用でき、発表会などの特別な行事の際には、ステージ付き体育館か多目的ルームも使用することができました。

 1981年から1991年まで校長を務めた横山廸子(みちこ)前校長は、「センターのスタッフの方々は非常に協力的で理解があり、よくしてくださっています。」(しおかぜ1、1985年)と感謝の意を述べています。ただ、センターのオフィスにある電話やコピー機の使用は認められていませんでした。日本語学校用のコピー機は、ある教師の自宅に置かれたため、他の教師はその教師の家まで行ってコピーを取っていました。

 1988年、カナダ政府が、日系カナダ人に対する戦時補償問題に正式に合意し、政府より全国の日系団体に賠償金が支払われることになりました。(注1参照) 

 この資金を基にスティーブストンに日系カナダ文化センターを建設する気運が高まり、国からの賠償金50万ドル、BC州政府からの補助金25万9333ドル、そしてリッチモンド市と地元住民からの寄付金も合わせ、1992年9月に「スティーブストン日加文化センター」が建設されました。この施設は、スティーブストンの日系コミュニティーの文化と歴史を維持していくことを目的とし、日本語は文化の中心であるため、日本語学校もこのセンター内に移転することとなりました。

 これは教師たちには心踊る嬉しい知らせでした。新築の建物には複数のクラスが提供できる広い空間があり、教師用のオフィスも設けられ、更に教材や資料を保管する倉庫もできました。電話とコピー機もオフィスに設置されました。1992年夏、教師と理事会のメンバーは、教材、備品、本棚などを自宅から新しい建物に運び入れ、9月からの新学期の準備に追われました。引っ越しは大変な作業でしたが、新しい学校に生徒たちを迎え入れる喜びで、全員期待に胸を弾ませていました。

スポーツデイ。©スティーブストン日本語学校
カナダのスポーツデイでパン食い競争。©スティーブストン日本語学校

 1990年頃の日本語学校は、家庭で日本語を話す子供用のクラスと日本語を話さない子供用のクラスを開講していましたが、日加文化センターへの移転でより広い教室空間ができたのを機に、徐々に新しいクラスを開講していきました。

 移転の前年の1991年には、家庭で日本語を話さない高校生のためのクラスを始めていました。当時、日本語は高校で大変人気のある科目で、本校での学習を希望する声が多く上がっていました。そうした要望に答えるために、学校は土曜日にクラスを開講することを決め、土曜日に多くの高校生を迎え入れました。この土曜日のクラスは、現在「高校生基礎科クラス(Senior Fundamental Class)」と呼ばれ、5つのレベルを提供しています。

 1995年には保育科が増設されます。当時、日本での幼稚園教諭の経験を持つ教師がおり、その経験を生かして年少の子供たちに日本の言葉や文化を広めるのが目的でした。保育科の教師はキーボードを使って音楽やダンスを取り入れ、子供たちが楽しめるクラス作りに尽力しました。日本語を話さない子供たちへの指導も日本語で行われましたが、子供たちは数多くの言葉や表現を自然に身につけていきました。地域の子供たちが本校での楽しい思い出と共に成長し、そして本校での経験を子供たちの明るい将来に役立ててほしい ―本校教職員の今までの、そして今後も変わることのない願いです。

節分などのイベントで日本の文化を地域に広める。©スティーブストン日本語学校
節分などのイベントで日本の文化を地域に広める。©スティーブストン日本語学校

 家庭で日本語を話さない生徒が増えるにつれ、日本語を習いたい保護者も増えていきました。本校はその要望に答え、2004 年に成人のための日本語クラスが開講されました。現在、様々なバックグラウンドの成人学習者が4つのレベルに分かれて日本語を学習しています。  

 スティーブストン日本語学校は、生徒、保護者、地域住民、そしてリッチモンド市からの力強い支援のおかげで大きく成長してきました。日加文化センターをその発信の基地とし、誇りを持って日本の言語と文化を地域に広める役割を果たして行きたい、切にそう願っています。

注1:1988年9月22日に戦時補償問題の合意書が全カナダ日系人協会会長アート・ミキと連邦政府首相ブライアン・マルルーニとの間で締結された。首相は日系カナダ人が連邦政府によって被った不正義を認めた。首相は日本人の被った不正義を道徳的にまた法律的に正当化することは出来ないと述べた。そしてカナダ人すべてが、日系カナダ人が被った強制収容、財産の没収、参政権の剥奪という歴史的な事実に向き合い、このよう出来事を二度と容認しないよう、或いは、繰り返さないようにと述べた。
(連邦議会下院議事録、1988年9月、19499ページ) National Association of Japanese Canadians より

  • 参考文献:      
  • 本校文集 しおかぜ1(1985)、しおかぜ2(2010)
  • SJCCC 25周年記念行事ケルビン・ヒゴ氏の冒頭スピーチ(2017)
  • 斉藤美代 スティーブストン日本語学校の思い出
  • 全カナダ日系人協会ウェブサイト http://najc.ca/japanese-canadian-history/

入学並びに編入をご希望の方は、本校のウエブサイトwww.sjls.ca をご覧になって下さい。

住所:4111 Moncton Street, Richmond, BC (SCC と同じ住所)
電話:604-274-4374

(スティーブストン日本語学校ニュースレター委員会)