スティーブストン仏教会の敷地にオープンした、シニアホーム、ウィステリアプレース

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リッチモンド市にあるウィステリアプレースの外観。Photo by © The Vancouver Shinpo
リッチモンド市にあるウィステリアプレースの外観。Photo by © The Vancouver Shinpo

 リッチモンド市のスティーブストン仏教会の敷地にオープンした、高齢者向け住宅のウィステリアプレース。仏教会の会員投票で2016年に施設建設が決まったあと、市の承認、BCハウジングから560万ドルの補助金確保、運営組織探しなど、5年の準備期間を経て、2021年9月にグランドオープニングを迎えた。

 最新設備を備えた4階建ての建物は、コミュニティセンターやスティーブストンビレッジのショッピングエリア、ゲリーポイントパークにも近い。ペットと一緒に入居することも可能。手頃な家賃で入居者は自立した生活を送ることができる。

 ウィステリアプレースをゼネラルマネージャー、シーラ・ライブリーさんと、スティーブストン仏教会開教使の生田グラント(真見)さんに案内してもらった。

コミュニティに根ざした施設

広いエントランスホール。コンシェルジュサービスも提供。©The Vancouver Shinpo
広いエントランスホール。コンシェルジュサービスも提供。©The Vancouver Shinpo

 シーラさんが最初に見せてくれたのは、エントランスホールのウォールアート、ウィステリア(フジ)だった。

 このウィステリアの花びらは合計120 個ある。107個が部屋数、残りの13個はスタッフで、入居者とスタッフはひとつの家族でありたいという想いを込めた。

 花びらはオープニング前にスタッフや工事業者が集めたプラスチック袋でできている。その数、約8万枚で、ローカルのアーティストに依頼して、アート作品にした。

 ウィステリアプレースは環境にやさしく、かつ地元に根ざした施設を目指している。たとえば入居者が不要になった古着などを集めて、スティーブストンにあるSOS Children’s Village Thrift Store Foundation(SOS)に寄付している。SOSは里子となっている子どもらを支援する組織だ。

 3階のセルフサーブ・ライブラリーの本棚横にはアンティークのチェストが置かれている。シーラさんは、「このチェストは100年以上前のもので、入居者が寄付してくれました。それをSOSに寄付してから、買い戻してここに置いたんですよ」とチャリティ支援の取り組みについて語った。

 施設内に飾られている絵はバンクーバーやリッチモンドのアーティストの作品で、多くはスティーブストンの風景を描いている。設備が整った高級アパートのたたずまいである一方、地元の景色を屋内でも楽しむことができることで、入居者の心安らぐ空間となっている。

日系移民との絆を大切に

仏教会の秘書のKeikoさんが作った折り鶴が飾られている。©The Vancouver Shinpo
仏教会の秘書のKeikoさんが作った折り鶴が飾られている。©The Vancouver Shinpo

 ウィステリアプレースはスティーブストン仏教会の敷地内にあり、仏教会や日系コミュニティとも関係が深い。入居者は瞑想をはじめとする、仏教会の一部プログラムに参加することもできる。また、仏教会の体育館を使用してのアクティビティも行っている。

 取材当日、コンシェルジュ横のガラス展示ケースには美しい着物が飾られていた。日本舞踊西川流師範で、彩月会を主宰する松野洋子さんが提供したものという。「松野さんは仏教会のメンバーということもあり、ご協力くださいました」と生田さんは微笑んだ。

 また、階段の下に飾られた千羽鶴は仏教会の秘書のKeikoさんが折ったもので、Keikoさんは入居者に折り紙をアクティビティとしてボランティアで教えている。

3食付きで、ランチとディナーはウエスタンかアジアンフュージョン

 入居者の毎月の費用には3食が含まれていて、1階のダイニングルームでほかの入居者と一緒に食事をとる。費用を払えば、友人や子どもや孫など家族と一緒に食事をすることも可能という。

 ランチとディナーはウエスタンかアジアンフュージョンの2種類から選ぶ。日系人以外のアジア人も入居していることから和食だけではなく、中華料理をはじめとするアジア料理を提供している。

 各部屋にはミニキッチンがあり小さな電気コンロか電子レンジがついているので、自分で簡単な調理もできる。

 また、館内には最大収容人数200人の多目的ルームやファミリーミーティングルーム、プライベートダイニングルームもある。多用途ルームは簡易キッチンがあるので料理も準備ができるほか、迫力の大型スクリーンでビデオ鑑賞も可能。

 これらの部屋は、例えば入居者が家族を集めて、個室で食事をしたい、誕生日、結婚記念日、そのほかのパーティーをしたいなど、さまざまな用途で使うことができるという。

各部屋には簡易キッチンが付いている。©The Vancouver Shinpo
各部屋には簡易キッチンが付いている。©The Vancouver Shinpo
大きなスクリーンがある多用途ルーム。訪れた日はセミナーのセットアップがされていた。©The Vancouver Shinpo
大きなスクリーンがある多目的ルーム。訪れた日はセミナーのセットアップがされていた。©The Vancouver Shinpo

ハイテクで入居者の安全で快適な暮らし、サステナビリティとコスト削減を実現

 ウィステリアプレースではペーパーレスにも努めている。コンシェルジュ横をはじめ、建物内のパブリックスペース各所に備え付けられたモニターには当日の食事メニュー、イベントや新しい入居者の紹介などが表示されている。

 これらの情報は、各部屋のスマートテレビでも確認することができる。「アクティビティ、ダイニングなどボタンを押すと、部屋のテレビのモニターに表示されるので、高齢者にも簡単です」と生田さんは語った。

 さらに、廊下は人感センサーになっていて、人がいないときには暗いが、入居者が部屋から廊下に出ると、電気が点く。センサー採用で「電気代の節約にもなっています」とシーラさんは胸を張る。

落ち着いた雰囲気の部屋。洗濯機と乾燥機も各室に備え付け。©The Vancouver Shinpo
落ち着いた雰囲気の部屋。洗濯機と乾燥機も各室に備え付け。©The Vancouver Shinpo

多彩なレクリエーション、アクティビティで充実した生活

 入居者はヨガやストレッチ、太極拳をはじめ、さまざまなフィットネスプログラム、アートやクラフト、ブリッジ、ビンゴなど多彩なアクティビティを楽しむことができる。参加料金は毎月の費用に含まれている。

 バスも所有していて、モールやイベントへのアウティング(ミニ遠足)もある。車の運転はしたくないけれど、ショッピングに行きたいという入居者らに、モールへのアウティングは好評だ。入場料が必要なイベントはその費用を支払うが、モールに行く場合などは追加料金なしで参加できる。

2階部分には池のある中庭。住人がガーデニングを楽しむことができるテラスもある。©The Vancouver Shinpo
2階部分には池のある中庭。住人がガーデニングを楽しむことができるテラスもある。©The Vancouver Shinpo

ウィステリアプレース
Wisteria Place

住所: 4388 Garry St, Richmond, B.C.
TEL: 604-338-5280
www.wisteriaplace.ca
全室107戸
・スタジオ $2,800~
・1BR $3,850~
・2BR $4,300~
各室に洗濯機、乾燥機備え付け。
料金には3食の食費以外にWifi、ケーブル、アクティビティ、自転車やスクーターの駐車などが含まれる。

(取材 西川桂子)

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