走り続けるフォト&ビデオグラファー 中村“Manto”真人さん

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ジョギングは欠かさないアクティブなマントさん。Photo by Manto Artworks
ジョギングは欠かさないアクティブなマントさん。Photo by Manto Artworks

 オリンピック、パラリンピックなどで活躍するアスリートの姿を撮影している中村“Manto” 真人さん。日系コミュニティでもイベント撮影をするほか、子どもたちにサッカーを教えたり、日課のジョギングなど、アクティブな活動を続けているマントさんに話を聞いた。

- 昨年8月の東京パラリンピックはどうでしたか。

 「どちらかというと緩やかなコロナ対策だったと感じました。一般の観客もいたり、バスのドライバーさんともお話ができたり。ただ、動線を分けるということで、遠回りをするような道を作られたりと、やりづらいこともありました。

 また、競技を見に行くために予約しなくてはならなくて大変でしたね。合理的ではないところは、やはりありましたね。

 『おもてなし』という面では、アスリートに手厚い恩恵があったり、競技もスムーズにおこなわれ、良い運営をしていたと本当に感じました。それと、小学生が学校の行事として観覧に来ていたりというのは、教育的にはすごくいいなと思いました」

- 印象に残ったことは?

 「女子のマラソンで道下美里選手が優勝されたんです。彼女は笑顔で走り続けているのがすごいなと。伴走するガイドがつくんですが、そういう人たちへの感謝の気持を忘れずに走っている姿には涙が出ました。金メダルを受け取ったときに盲導犬と出て、その犬に金メダルをかけたりね。

 (取材をしていると)障害というものが見えなくなりますね。個性として捉えることができるようになってきました」

女子マラソンで金メダルを獲得した道下美里選手。伴走するガイドと共に笑顔でゴールへ。2021年東京パラリンピック。Photo by Manto Artworks
女子マラソンで金メダルを獲得した道下美里選手。伴走するガイドと共に笑顔でゴールへ。2021年東京パラリンピック。Photo by Paraphoto/Manto Artwork

- 今年3月には北京パラリンピックに行かれましたね。

 「メディアと一般の人との接触はほぼ皆無で、メディア専用のバスしか乗れないようになっていたし、タクシーは特別料金を払って乗ることになっていました。

 3つの会場があるんですが、それぞれの移動に3時間ずつほどかかり、1日のうちで3カ所移動する必要があるときなど、ホテルに帰ってくるのが夜中。それから写真の編集をしてまた翌朝早くに出ていくということもありました。ただ反面、セキュリティという点では守られているなとは思いました」

- 印象に残った良かった点は?

 「感動した選手がいっぱいいました。カナダのアルバータ州出身のクロスカントリーのブライアン・マッキーバー選手は日系人なんですけど、大会に出たらメダルを必ず取ってくるというようなすごい人で。

 彼のような有名な選手だけでなく、あまり知られていない選手も撮って全体に陽が当たるようには心がけてます」

クロスカントリーのブライアン・マッキーバー選手。ガイドと競技に臨みメダルを獲得。2022年北京パラリンピック。Photo by Manto Artworks
クロスカントリーのブライアン・マッキーバー選手。ガイドと競技に臨みメダルを獲得。2022年北京パラリンピック。Photo by Paraphoto/Manto Artwork

- 障害者スポーツを中心に撮影をされるようになったきっかけは?

 「オリンピックだと、誰がメダルを取ったとか、メダルを取ったら「一番!」というような感じですよね。パラリンピックの場合は、サポートしてくれた人などに対して『ありがとう』という気持ちがまずあって、個人だけでなくチームワークを重んじているところが、すごいなと。

 これは本来のあり方だし、これからの共生社会のあり方かなと思います。(2010年の)バンクーバー大会では、オリンピックもパラリンピックもどちらも取材しましたし、女子サッカーのワールドカップの取材なんかもして、おもしろいとは思いましたが、なにかが足りないと感じていました。

 分けているわけではないんだけど、取材している立場として気持ちいいんですね。自分が取材することで(アスリートを)サポートしているんだなとも感じます」

- 今後の希望や展望を。

 「障害とか、自分が劣っているとかというようなくくりをやめるような方向に少しずつなっていったらいいかなと思います。見る人もやる人も、バリアフリーでジェンダーフリーで、垣根がなくなるようなところがほしいかな。

 うまくできない人はうまくできる人に教わる、そういうサポートし合うことは大切。そういうことがまだ足りないと感じます。

 たとえばオリンピックとパラリンピックと分けないで一緒にやっちゃうとか。障害のある人にはなんらかのハンデをつけるとかして、できるような気もしますよ。

 あと、カメラマンは世界を飛び回って燃料費を使うのはもったいないし、地球に優しくないから、アスリートだけ現地に行って、取材は現地の人にしてもらって、世界に発信しちゃえばいいと思うんですよね」

- 現地で生で見るから感動するということもあるかもしれないですけど。

 「世界最高峰のスポーツの祭典の、最高の瞬間を切り取ることの醍醐味というのはありますけどね。カメラの性能とか、ITの技術とかがあがってくれば、違ってくるかもしれないです。将来的にはこういった形での観戦、取材もありになってくるかもしれないです」

 動いているアスリートの最高の瞬間を撮るための練習として、普段から鳥と動物の写真を撮っているというマントさん。また、フランスでおこなわれるツール・ド・フランスにも、いつか参加してみたいと希望を語ってくれた。走り続けるマントさんにはまだまだ追いかけたい夢があるようだ。

アイスホッケーの決勝戦はカナダとアメリカ。アイスホッケーの試合はいつも印象深いとマントさん。2022年北京パラリンピック。Photo by Manto Artworks
アイスホッケーの決勝戦はカナダとアメリカ。アイスホッケーの試合はいつも印象深いとマントさん。2022年北京パラリンピック。Photo by Paraphoto/Manto Artwork

中村“Manto” 真人さん
幅広い分野のスポーツでのアスリートを撮影。日系コミュニティのイベントや、さまざまな写真撮影・ビデオ撮影もおこなっている。バンクーバーでオーガニック納豆の製造販売事業も手がける「Natto King」も経営。

Facebook-Work: https://www.facebook.com/MantoArtworksPhotography/
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Vimeo: https://vimeo.com/user56045488
Stock Photos: https://creator-en.pixtastock.com/@Manto

(取材 大島多紀子)

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