VMOバンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ、20周年シーズン開幕コンサート

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9月9日 ピアニスト柳谷良さんを迎えて

エール大学構内でくつろぐ柳谷良さん(写真提供:柳谷良、撮影:Jacques Lee Wood)
エール大学構内でくつろぐ柳谷良さん(写真提供:柳谷良、撮影:Jacques Lee Wood)

 若い音楽家のために、プロと同じ設定で演奏する機会を与えようと、アマチュア演奏家を集めて始めたのがVMOバンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ(音楽監督・首席指揮者ケン・シェ)だ。

 結成20周年を迎えたVMOは、当地出身のピアニスト柳谷良(やなぎたに・りょう)さんをゲストに迎えてシーズン開幕コンサートを開く。これに先立ち、アメリカ・ワシントンDC在住の柳谷さんに電話で話を聞いた。

「故郷で演奏できることになり、心の高なりを感じています」

ー当地出身ですよね?ピアノはどんなレッスンを受けていましたか?

 リッチモンド市で生まれ育ちましたが、外国の人向けには、わかりやすいように「バンクーバー」と言うようにしています(笑)。

 7歳のころ、自分からピアノをやりたいと親に話しました。スポーツなど(無理やり?)習い事もしましたが、僕はやっぱりピアノが好きだったのです。

 ラッキーなことに、相性のいい先生に巡り合いました。僕が弾いてみたい曲を自由にやらせてくれて、楽しみを忘れさせないようなレッスンをしていただきました。ヘザー・イングリッシュ先生には、大学に入るまで習いました。

ーUBCに進学したのですね?

 本当はジュリアード音楽院に進みたかったのですが、そのころでも学費がすごく高くて。それで地元ブリティッシュコロンビア大学(UBC)の音楽学部に進んだのですが、ここでかけがえのない友に出会い、学生生活は大満足でした。

 ケン・シェとも大学時代に知り合いました。僕が2年のときケンが1年で入ってきて。ケンはパーカッション専攻でピアノは副科として取っていましたが、同じ先生だったのです。

 知り合ってから数えると約25年のつきあいということになります。

ー学生時代からコンクールで優勝されていますね。

 ハイスクールのころからコンクールに出ていますが、サンアントニオ国際ピアノコンクールで優勝したのをきっかけに、本格的に演奏活動に入りました。演奏は生き甲斐ですが、そのほかに非営利団体S&R財団ではコンサートシリーズのアーティスティック・ディレクターを務めました。審査員をするものやりがいがあります。

ー日本人4人でチャリティーコンサートを開いたことがあると聞きましたが。

子どものころからピアノが大好きだという柳谷良さん(写真提供:柳谷良、撮影:Jacques Lee Wood)
子どものころからピアノが大好きだという柳谷良さん(写真提供:柳谷良、撮影:Jacques Lee Wood)

 大学1年のころだったでしょうか。カナダ音楽コンクール(Canadian Music Competition)の18歳未満の部で優勝した僕(当時の名前は柳谷良輔)と、それぞれの年齢部門で優勝や入賞を遂げた竹井聡(そう)くん、山下フィオーナちゃん、得能エイミーちゃんと4人でピアノコンサートを開きました。確か、日系センターが建つ前の話で、集まったお金を寄付しました(編集部注:日系文化センター・博物館は2000年にオープン)

ー今回弾くのはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ですね。

 ケンといろいろ相談する中で決まったのですが、大好きな曲ですから選曲に文句なしです。

 コンサートに向けての練習というのは、マラソンに向けて毎日トレーニングするようなもので、2、3日休んでしまうとテクニックの衰えや、ピアノとのコミュニケーションに欠けることを感じます。本当は毎日5、6時間練習したいのですが、日々の生活もあるし、コンペティションに向けて練習する学生時代のようにはいきません。

 今回故郷で演奏できることになり、心の高鳴りを感じています。友人や家族に会える楽しみ、やっと戻れるという緊張感もありますが、思い切って演奏したいと思っています。

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 VMO20周年に際しケン・シェ氏は「VMOでの経験を踏まえてプロのオーケストラに入った若い演奏家も多く、ソリストとしてゲスト出演した人も海外で活躍しています。皆さんのこれまでのご支援に感謝します。いつかVMOのコンサートホールを持つのが夢です。今回は良くんとの共演を楽しみにしています」と語った。

(取材 ルイーズ阿久沢)

VMOバンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ 20周年シーズン開幕コンサート

日時:9月9日(金)7pm コンサートトーク、7:30pm 開演
会場:CHAN CENTRE FOR THE PERFORMING ARTS at UBC

指揮:ケン・シェ
ピアノ:柳谷良

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
チャイコフスキー:交響曲第4番
新進作曲家エイダン・ムルドゥーン・ウォングの新作発表

チケット:55ドル(学生・シニア40ドル、UBCの学生は30ドル)
オンライン購入https://chancentre.com/events/vmo-20th-anniversary-season-opening-concert/

柳谷良(やなぎたに・りょう)
1978年ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市生まれ。7歳からピアノを始め、2009年第10回サンアントニオ国際ピアノコンクールで金賞を受賞。2008年カウダー国際ピアノコンクール優勝、ミネソタ国際ピアノコンクール、シガール国際ピアノコンクール(チリ)、ヒルトンヘッド国際ピアノコンクールなどで優勝・入賞経験を持つ。ブリティッシュコロンビア大学、クリーブランド音楽院を経てエール大学で修士課程修了および博士号取得。演奏活動ほかコンクールの審査員やマスタークラスも指導している。アメリカ・ワシントンDC在住。