日本とBC州で歯科医師の免許を持つ楠瀬智子さんに聞く

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Dr Wayne Okamura Dental Officeのスタッフの皆さん。Photo courtesy of Dr. Tomoko Kusunose
Dr Wayne Okamura Dental Officeのスタッフの皆さん。左端がオカムラ先生、Photo courtesy of Dr. Tomoko Kusunose

 キツラノにあるDr Wayne Okamura Dental Officeで治療を行っている歯科医師の楠瀬智子さん。歯科医師として活躍する一方で、バンクーバー新報で歯や口の健康についてのコラムの連載(不定期)を開始。日本人読者にアドバイスを行う。

 楠瀬さんにDr Wayne Okamura Dental Officeやカナダの歯科治療について聞いた。

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- Dr Wayne Okamura Dental Officeについて教えてください。50周年を迎えたと聞いています。

 はい。もともとは日系2世のフクシマ先生がオフィスを始めて、そのあとオカムラ先生が引き継いで、今にいたります。今はオカムラ先生は火曜日から金曜日、Dr O’Keefeが土曜日、私は火曜日、木曜日、金曜日に働いています。

- 場所はキツラノですね。

 Dr Wayne Okamura Dental OfficeはMacdonald StとW. Broadway の交差点のSafewayの向かいのビルの2階にあります。

 1ブロック離れたところにOkamura Dentalというところがあって、そこはオカムラ先生の兄妹のオフィスです。

- ダウンタウンから公共交通機関でも30分ぐらいでしょうか。治療を受けているのはバンクーバーの方が中心ですか?

 バスだとだいたい30分くらいだと思います。99番のMacdonald Stのバス停がすぐそばにあります。オフィスの裏に駐車場もあります。古いオフィスなので、以前キツラノに住んでいた方がメリットから、あるいはバンクーバー島からフェリーでなど、遠くから来ている患者さんも多いです。

- オカムラ先生は日本語対応はされていますか? 楠瀬先生以外にオフィスで日本語対応をしているスタッフは?

 私以外は受付などもみんな英語です。でも、私が入る5年前よりもっと以前から日本人の患者さんも多くいますし、英語が母国語ではない患者さんもいるので、いろんな方にわかりやすく対応しているのではないかと思います。

- Dr Wayne Okamura Dental Officeの治療内容を教えてください。

  歯科一般をしています。虫歯の治療、神経の処置、抜歯、インビザラインでの矯正治療、インプラントの手術などをしています。

- 検索したとき、虫歯検知機 CariVu、 口腔内3DスキャナーTrios、口腔内蛍光観察装置 VELscope等、さまざまな装置を導入とありました。これらの機器はどのように使っていらっしゃいますか?

 CariVuは光を当てて虫歯があるかをみる装置で、レントゲンのように放射線の被爆がないので、妊婦さんや小さい子どもの検診をするときに主に使っています。レントゲンではっきり診断がつかないときにCarivuを使ってみたりしますが、基本的にはレントゲンと併用して診断しています。 

 新患の方で全体の歯のチェックを希望される方は3Shape の3Dスキャナーを使って今の歯の型を取っています。現在の歯や歯茎の状態、かみ合わせなど、全体が記録されるので、患者さんに説明するのにも便利ですし、型どりのストレスもなく、デジタルで記録されるので比較もしやすいし、なくてはならない道具になっています。スキャナーは去年から使い始めましたが、矯正治療にも本当に役に立っています。

 あとはCTスキャンもよく使います。神経の治療をするのにも使いますし、矯正治療をする前に骨の幅をみたり、歯の根っこの病巣を調べたり、抜歯やインプラントの時にも使います。

 Velscopeは口腔がんや異形成などの口腔粘膜異常をみる装置ですが、私は全員にスクリーニングとしては使ってなくて、何か異常があるようなときに補足で使っています。 

- 口腔ガンをみるというのは、どの歯科でもしているのでしょうか。

 カナダの歯科では定期健診のときにみていると思います。オカムラ先生のオフィスでもときどき口腔ガンが見つかります。それほど「まれ」な病気ではありません。

 口内炎が2週間以上治らないような場合は、歯科医に相談してみてください。ガンでは早期発見が大切なのですが、初期では痛みがないことが多いので、舌や口腔内、それから首筋にしこりなど異常がないか、ご自分で定期的にチェックするのは大事です。

- 日本で歯科医の経験もあるそうですね。日本とカナダの歯科治療の違いについて教えてください。

 日本の保険治療とカナダの治療は使う材料が全く違います。あと、こちらでは専門医の先生たちと連携して治療がしやすいのは大きな利点だと思います。日本だと1つのところで全部できるのにカナダだとどうしていろんなところに行かないといけないのか、と日本人の患者さんに言われることがありますが、ケースバイケースで、神経の治療も抜歯も矯正もインプラントも自分たちでするケースと専門医に紹介するケースとあります。

- 短期滞在していた日本人知人から「北米では温存治療は訴訟の可能性があるのでやらないので、カナダで歯科治療を受けたくない」「カナダの歯科治療は高い」と言われたことがあります。

 日本だと保険治療で安く治療ができるので、予後が不良な歯でもとりあえず治療をしてみる、という考え方があるのかもしれませんが、カナダでは日本の保険治療のように治療費が安くないので、予後が悪い歯を高いお金をかけてやってみるのは勧めません。


 でも、明らかに歯が割れていたり、治る見込みのないような大きい炎症があったりして歯を残すメリットが全くない場合は別ですが、予後不良でも患者さんの希望があれば、その説明はしっかりして、納得してもらって治療はします。歯を抜くのは最終的な決断になるので、簡単に勧めているというわけではないと思います。

 予後が不良だと判断された場合でも治療してみたら意外としばらく大丈夫なこともありますし、でも逆に専門医で高いお金をかけて治療しても治らなくて数か月あとに抜歯になることもあります。そのあたりは最終的には患者さんの判断になります。

 楠瀬さんはバンクーバー新報に「楠瀬智子の暮らしに役立つ歯と口の豆知識」のタイトルでコラムを寄稿している。

- この度はコラム新連載ありがとうございます。コラムについても簡単に紹介をお願いします。歯や口の健康についてということですよね?

 はい。今はネットにいろんな情報があって、歯科のこともさまざまなところにいろんなことが書いてあります。その中には科学的根拠があることもありますし、そうではないものもあります。

 私が人生で出会える患者さんは限られているので、それ以外の方々にも自分自身や家族の歯や口の健康に興味を持ってもらえるように、できるだけ正しい情報をわかりやすく伝えていきたいと思っています。とはいえ、科学的根拠があるとされていることでも、新しい事実が出てきて、その情報が間違ったものになることもありますが…。

 仕事以外の時も勉強会やセミナーなどがあって忙しくて、なかなか更新されないかもしれませんが、できるだけ時間をみつけて書いていきたいと思っています。

プロフィール

歯科医師 楠瀬智子
2004年北海道大学歯学部卒業
日本の歯科医師免許、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州の歯科医師免許、BC州の歯科衛生士の免許を保有
2016年よりキツラノのDr. Wayne Okamura Inc.にて勤務(火曜、木曜、金曜)

Dr. Wayne Okamura Inc.
TEL:604‐736‐7374
住所:2732 W Broadway #202, Vancouver, BC, V6K 2G4
診療日:火曜から隔週土曜 7:30 am – 6:00 pm(曜日により診療時間は異なる)
診療内容:定期健診、クリーニング、虫歯の治療、根管治療、抜歯、マウスピース矯正などの歯列矯正治療、インプラント手術、ホワイトニングなど