命がけで母なる川へ。サケの遡上を見に行こう

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北米でも有名なアダムズリバーのサケの遡上。Photo by Keiko Nishikawa
北米でも有名なアダムズリバーのサケの遡上。Photo by Keiko Nishikawa

北米最大級のサケの遡上が見られるアダムズリバー

 毎年10月になると多くのサケがブリティッシュ・コロンビア(BC)州に産卵のため遡上してくる。中でもバンクーバーから車で訪れるとサーモンアームの手前にあるTsútswecw (Roderick Haig-Brown) Provincial Parkが有名だ。北米最大級のサケの遡上で知られている。

 特に4年に一度の遡上数が多い年はビッグランと呼ばれ、2018年、そして来年2022年は数百万匹のサケが上ってくる。次に多いのが、ビッグランの翌年、つまり2019年と2023年になる。

 今年はビッグランではないが1万匹程度のサケが帰ってくるとみられているという。

特にビッグランの年には多くの人が訪れる。Photo by Keiko Nishikawa
特にビッグランの年には多くの人が訪れる。Photo by Keiko Nishikawa

アダムズリバーのサケの一生

 秋に産卵されるアダムズリバーのサケは冬に孵化して、生まれたばかりのときは石の間でじっと横たわっている。稚魚になると1年ほどシュスワップ湖で過ごした後、湖を出て、海に下っていく。

 サケは約2200~4300粒の卵を産む。そのうち孵化するのは900匹程度で、さらにシュスワップ湖を離れるときには約250匹まで減っているという。

 1週間かけて太平洋に到着すると、その後、2~3年間海で暮らす。海に下るのは、海洋では餌が豊富であるためという。サケは冷水性淡水魚で寒帯の淡水域で生まれる。しかし、この地域は栄養が乏しいため、餌が豊富な海洋に下って成長期を過ごす。

 海洋ではアザラシやシャチなどの天敵による危険にさらされる一方、豊富な栄養でどんどん大きくなる。

 産卵の時期を迎えると、バンクーバーの河口からアダムズリバーへと帰っていく。母なる川に帰っていくということで母川回帰と呼ばれる現象で、生まれた川のニオイを記憶しているとも言われるが、実際のメカニズムはまだ明らかになっていない。

アダムズリバーに帰ってきて一生を終えたサケ。Photo by Keiko Nishikawa
アダムズリバーに帰ってきて一生を終えたサケ。Photo by Keiko Nishikawa

 回帰を始める時に、生き残っているのは10匹程度のみだそうだ。フレイザーキャニオンの荒々しい渓谷をのぼり、はるばるアダムズリバーに戻ってくる。

 産卵場所に着くと雄と雌がペアになって雌が尾びれを使って産卵床を掘る。完成すると、雌は卵を産み落とす。雄は雌に寄り添って放精する。産卵を終わると、雌は卵がほかの魚に食べられたりしないよう砂利で保護する。そして、産卵を終えたサケはその生涯を終える。

 生まれてから太平洋に渡り、故郷のアダムズリバーに戻ってくるまでの道のりは4000㎞とされている。

Tsútswecw(Roderick Haig-Brown) Provincial Park
2018年にRoderick Haig-Brown Provincial ParkからTsútswecw Provincial Parkに名称が変更になった。バンクーバーから車で片道5時間と遠いが、多数のベニザケで川面が赤く染まる景色は圧巻。

サケの一生を紹介する案内板や帰ってくるサケを見る見晴台もある。

ウェブサイト
https://bcparks.ca/explore/parkpgs/tsutswecw/

その他、サケの遡上を見ることができる場所

ノースバンクーバー
・Capilano River Regional Park
キャピラノサケ孵化場は新型コロナウイルス感染拡大で現在、閉まっている。ハイキングルートとしても人気で、9~10月ごろまで川沿いのトレイルからサケを確認することもできる。
http://www.metrovancouver.org/services/parks/parks-greenways-reserves/capilano-river-regional-park

サレー
・Tynehead Regional Park
ハイウェイ1号線に近いTynehead Regional Park。全長350メートルのSalmon Habitat Loopでは8月から11月頃までサケを見ることもできる。 孵化場もある。
http://www.metrovancouver.org/services/parks/parks-greenways-reserves/tynehead-regional-park

メープルリッジ 
・Kanaka Creek Regional Park
カナダ政府が運営している孵化場の多くは新型コロナウイルス感染拡大で閉まっているが、ベル・アービング孵化場はメトロバンクーバー運営なのでオープン。
http://www.metrovancouver.org/services/parks/parks-greenways-reserves/kanaka-creek-regional-park

スコーミッシュ
・Mamquam Spawning Channel
8月から11月ごろまで。川に向かう全長700メートルの遊歩道沿いにはインタラクティブな案内板があり、サケについて知ることもできる。
https://www.exploresquamish.com/trails-routes/mamquam-river-trails

チリワック

サーモンフィッシングの人たちに人気のチリワックリバー。Photo by Keiko Nishikawa
サーモンフィッシングの人たちに人気のチリワックリバー。Photo by Keiko Nishikawa

・Island 22 Regional Park
面積132ヘクタールの大きな公園。ボートローンチ周辺でサケを見ることができる。
https://www.fvrd.ca/EN/main/parks-recreation/parks-trails/island-22-regional-park.html

・Chilliwack River
サーモンフィッシングで人気。秋にはチリワックレイクに向かうChilliwack Lake Road沿いで多くの人が釣りをしている。チリワックリバー孵化場の手前のChilliwack RiverとSlesse Creek が交差する辺りも見学スポットとして知られている。

ホープ 
・Thacker Regional Park
ホープの中心部から近い。入口から上流に向かって1キロほど行くと産卵場がある。野鳥も多数生息している。
https://www.fvrd.ca/EN/main/parks-recreation/parks-trails/thacker-regional-park.html

ビクトリア
・Goldstream Provincial Park
10月から11月初旬まで。数千のサケが帰ってくることで知られていて、ウォッチングに訪れる人も多い。
https://bcparks.ca/explore/parkpgs/goldstream/

参考
The Adams River Salmon Society 「The Salmon’s Journey」
www.salmonsociety.com

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