日本の文化とも密接に関わる麹など、発酵食品の魅力 1

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発酵ピクルス。Photo courtesy of Yumi Sakamoto
発酵ピクルス。Photo courtesy of Yumi Sakamoto

 発酵食品文化や日本の文化に密接に関わる麹(こうじ)を広めようと活動している、坂本由美さん(以下、由美さん)。

 発酵食研究家、上級麹士、麹アドバイザー、ホリスティック栄養士、マクロビライフスタイルアドバイザー、ビーガンシェフ、ローフードシェフとさまざまな資格を持つ由美さんに話を聞いた。2回に分けてリポートする。

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– ホリスティック栄養士、発酵食研究家ほか、たくさんの資格を持っていますね。勉強しようと思ったきっかけなど教えてください。

 食についての探求を始めた最初のきっかけは、日本で仕事をしていたときに、精神的なストレスと、乱れた生活が原因で自律神経失調症になったことです。もともと東洋医学や食べ物、自然食に興味がありましたが、体調を壊したことで、さらに本などで独学したり、セラピーを受けて身体のことを考えるようになりました。

 その後、数々の体調不良で常に大量の薬を服用していた父が大病をして、予防医学の大切さを痛感しました。薬やサプリメントだけに頼らない、日常の生活から自己免疫を上げる勉強がしたい、ホリスティック栄養学を学びたいと思うようになりました。

 薬が悪いというわけではなく、バランスが大切だと私は考えています。薬が効くようにするには、生活や環境を整える必要もあります。

金山寺味噌。Photo courtesy of Yumi Sakamoto

よもぎ団子と発酵あんこ。Photo courtesy of Yumi Sakamoto

– 上級麹士や麹アドバイザーといった資格も持っているということですが、これらは日本の資格でしょうか?

 はい、上級麹士は日本で資格を取りましたが、理解と経験を深めるために、日本の先生から学んだトロント在住の先生とオンラインでご縁をいただき、約2年前からグループ内で知識を高め合って、経験を積ませていただいています。

 もともとは世界の美味しそうな発酵食品を日本人の好みにアレンジして、季節に沿った食材で家庭でも簡単に作れるレシピを、栄養の話も交えながらお伝えしていました。今では麹関連のクラスも提供させていただいています。

 調味料のさしすせそ(酒、塩、酢、しょうゆ、みそ)も全て麹が関係していて、日本の伝統文化と深く関係しています。そんな麹を伝承していきたいと思い、現在のクラスでは、みそやみりん、しょうゆの作り方クラスも開催しています。

– 発酵食について教えてください。

 辞書などには発酵食は「食材を微生物の働きによって発酵させて製造する食品」のように説明されています。発酵のカギは微生物の酵素で、食材が分解されていく過程を、クラスでは紙をたとえに使ってお話しています。

 1枚の紙があります。折ったり、切って星形にしたり、短冊にしたりと、その紙の形を変えることができますが、紙という素材はそのまま変わりません。ハサミが酵素で、紙(素材)を新しい形のものにします。

 このように酵素で食物が分解されて、消化しやすい状態に変化するのが発酵です。おなかにやさしく、腸の環境を整えるだけではなく、味に旨味(うまみ)や酸味が加わりさらにおいしくなります。野菜なども発酵させることで栄養価、保存性も高まります。

 漬物、ピクルス、ザワークラウト、キムチ、みそ、しょうゆなどは冷蔵庫のない時代から愛されてきた食品の一例です。

– 麹についても教えてください。たくさんの種類があるそうですね?

 一般的に知られているのは白米麹です。その他にも玄米麹、麦麹などがあり、米、麦、豆の3つが日本の伝統的なもの、代表的なものです。

 ちなみに愛知県の名物である八丁みそは豆麹で仕込まれていて、二冬二夏を越して長期発酵させた「みそ」です。

 みそはひよこ豆や金時豆、小豆で仕込めば、大豆アレルギーの方でも食べることができます。ハト麦麹などで仕込む薬膳みそも滋養があり、個人的に好きです。

みそパレット。日本各地で作られているみそは、種類が豊富。さまざまなみその作り方のクラスも開催。Photo courtesy of Yumi Sakamoto
みそパレット。日本各地で作られているみそは、種類が豊富。さまざまなみその作り方のクラスも開催。Photo courtesy of Yumi Sakamoto

 麹は徐々に世界中の注目を浴びていますが、特に海外で発酵食を出すレストランなどでは新しい麹のかもし(醸造の仕方)、利用法が次々に出ていて「こんなこともできるんだ!」と、その斬新さに驚きながらもワクワクと刺激を受けています。

– インスタグラムでどぶろく造りも発信していましたよね?

 カナダは日本(一部の地域を除く)とは違って、どぶろくを造るのは違法にはなりません。日本酒造りと同様に米麹で仕込み、クラスでは果物から起こしたイースト菌を利用します。

 甘さと爽やかな酸味で、お酒があまり飲めない方にも美味しいとご好評をいただいております。なによりも菌や酵素も生きていますので、美肌効果も期待できます。

(後編に続く)

オンライン、対面などで発酵食品などについて教えている坂本由美さん。Photo courtesy of Yumi Sakamoto
オンライン、対面などで発酵食品などについて教えている坂本由美さん。夏にはピクルス、冬にみそと、四季にあった発酵食品を紹介するようにしているという。Photo courtesy of Yumi Sakamoto

坂本由美さん
 ストレスなどから自律神経失調症になったことを機に、漢方や鍼(はり)などの東洋医学、代替医療を試し、独学に励む。両親が病気になったことで、さらにホリスティック栄養学に興味・関心を高め、Canadian School of Natural Nutritionを卒業。発酵食研究家、上級麹士、麹アドバイザー、マクロビライフスタイルアドバイザー。 

 オンラインおよび対面クラス、プライベートレッスン。栄養相談や隣組シニアライフセミナー「酵素と腸の健康」や英語でのセミナーの講師など、コミュニティでも活動している。

 「腸の健康と発酵食シリーズ」のクラスでは、第二の脳ともいわれる腸の健康をテーマに、昔ながらの知恵である発酵食品、発酵調味料の作り方を座学や簡単な栄養学を交えて学ぶ。

*オンラインクラス (https://ameblo.jp/sustainablefeast
3月は本みりん、しょうゆの予定。

ブログ(発酵クラブで今日も快腸)
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Facebook(Fermentation & Sustainable Cooking Club)https://www.facebook.com/groups/692734600900220

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(取材 西川桂子)

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