パンデミックで人種や民族に関する差別が増加

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回答者の5人に2人が差別を受けたと報告、うち半数近くが人種・民族差別の被害に

 カナダ統計局が3月21日の国際人種差別撤廃デーを迎えるにあたり、3月17日、カナダでの人種差別の状況を発表した。

 15歳以上を対象に調査をした結果、2015年1月から2021年2月までの間、差別をされたことがあると答えた人は全回答者の38.2%だった。さらに2015年1月からの5年間の新型コロナウイルス感染拡大前と、2021年2月の被害状況が差別の種類別で明らかになっている。

 差別の種類2015年1月から5年間2021年2月
人種や民族に関する差別43.5 %49.5 %
年齢33.7 %26.9 %
外見32.1 %25.2 %
性別29.0 %19.9 %
言語21.9 %17.5 %
宗教13.8 %10.0 %
障がい9.6 %7.8 %
性的志向6.6 %4.4 %
性のアイデンティティ4.8 %4.8 %
受けた差別の相対割合

*複数回答可とした調査の結果。

 感染拡大が2020年に始まってから、カナダでの人種や民族差別が増えているという。統計局では、2017年から2020年までの、警察に通報されたヘイトクライムの種類別件数の推移も明らかにしているが、2020年の人種・民族差別通報件数は1,594件で、2019年の年間通報件数884件と比較して、2倍近くの増加となった。

2017年から2020年までの警察へのヘイトクライムの通報数、種類別推移。Photo by Statistics Canada Website

差別を受けたと回答した人の人種・民族別割合

 2015年1月から5年間2021年2月
中国系6.0 %10.4 %
韓国系7.4 %9.1 %
黒人7.5 %8.4 %
フィリピン系6.0 %8.4 %
東南アジア4.3 %5.9 %
南アジア5.7 %5.8 %
西アジア5.2 %4.9 %
ラテンアメリカ4.7 %3.1 %
アラブ4.4 %3.1 %

 パンデミックが始まって以来、アジア人に対する人種や民族差別の相対リスクが増加した。

 2020年、中国系カナダ人が差別の被害者となるリスクは、ビジブルマイノリティではない人*と比較して10倍だった。また、警察に通報があったヘイトクライムの62%は人種や民族に関するものだった。

BC州ではホーガン州首相が人種差別と闘う声明を発表

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州では、国際人種差別撤廃デーにあたり、ジョン・ホーガン州首相とラチナ・シング反人種差別イニシアティブ担当政務官が、声明を発表した。 

 その中で「パンデミックは人々の最も良い面を浮き彫りにした一方で、最も悪い面も照らし出しました。残念ながらCOVID-19が蔓延(まんえん)し始めて以来、先住民族や人種差別を受けてきたコミュニティをターゲットにしたり、スケープゴート(身代わり)にする憎悪や人種差別が引き金となった振る舞いが驚くほど増加しているのを目の当たりにしてきました。

 それと同時に、多くの人がすでに過去に葬り去ったと願っていた白人至上主義だけでなく、憎しみに満ちたスピーチ、シンボル、振る舞いなどの見境もない感情の発露の増加も目に余るものです。私たちはこれまで以上に、社会として団結し、この高まる憎悪に立ち向かい、『ノーモア』と言わなければなりません」と語り、州民に対して協力を呼びかけた。

 また、「新たな反人種差別対策のためのデータ収集に関する法律を導入し、安全な人種別データの収集を支えることで体系的人種差別の排除に役立てていく所存です。このデータは政府のプログラムやサービスの実施方法に存在するギャップや不平等を特定し対処するのに不可欠なものとなります」と、人種差別対策のための法律を導入する意向も示している。

参照: Canadian Centre for Justice and Community Safety Statistics, Incident-based Uniform Crime Reporting Survey 

*編集部注)
ビジブルマイノリティは、カナダ政府の統計上分類で先住民を除く白人以外を指す。出生地には関係なく、日系、中国系、韓国系、東南アジア系、黒人など。ラテンアメリカ系で白人以外、片親が白人以外も含まれる。

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