連邦予算案は4月19日、解散総選挙の引き金となるか?

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 カナダ政府クリスティア・フリーランド副首相兼財務大臣は23日、2021年度予算案を4月19日に議会に提出すると発表した。自由党政権は昨年3月、新型コロナウイルス感染拡大を理由に2020年度予算案の議会提出を見送った。

 昨秋ビル・モルノー前財務大臣辞任後に就任したフリーランド財務大臣にとっては初めての予算案となる。

 2019年3月19日に示された予算案では2020-21年は197億ドルと予測されていた負債額は、2020年秋の経済状況更新時には、数千億ドルという自由党政権の新型コロナ対策費により少なくとも3,816億ドルに膨れ上がると発表している。

 2021年度予算案では、新型コロナ後の経済回復に向けた予算だけでなく、2019年選挙で公約したカナダファーマケア制度導入への予算などをどう盛り込んでいくのか注目されている。

 さらに2期目のジャスティン・トルドー首相にとっては、今回は少数派政権となって初めての予算案でもある。野党の協力がなくては議会で可決されない。予算案の否決は政権への不信任とみなされる。

解散総選挙に向けた予算案を提出か?

 カナダ下院では予算案の否決は不信任とみなされ、解散総選挙の引き金となる。

 トルドー首相にとっては初めての少数派政権での予算案で、野党を賛成に導く予算を盛り込む必要がある。

 特にカギは中道左派の新民主党(NDP)がどう動くのか。NDPが主張する政策の予算を盛り込むのか、それともNDPの主張を無視して解散総選挙へ踏み切るのか。

 昨年秋ごろから、トルドー政権は解散総選挙のタイミングを計っているのではと報道されている。トルドー首相は「まずはコロナ対策が最優先」と公式には否定しているが、報道各社では予算案のタイミングで解散総選挙が濃厚との見方がさらに強まっている。

 自由党は2019年の総選挙で政権とトルドー首相のスキャンダルで勝利すら危うかったが、なんとか保守党を抑えて政権を維持した。ただその後もトルドー首相の人気は回復せず、先住民族への対応などでますます批判に晒されていた。しかし、皮肉なことに昨年3月から拡大した新型コロナウイルス感染への対応で息を吹き返した。

 毎日国民に自宅前から語り掛けていたトルドー首相の姿と、新型コロナ拡大で生活に困窮する国民を救済する自由党政権の経済対策が功を奏してか、支持率は上がっている。

 その上に野党の存在感が薄い。前回総選挙でヨロヨロのトルドー政権を倒せなかった責任を取らされる形で保守党前党首が2019年末に辞任に追い込まれた。エリン・オトゥール新党首はまだ国民に顔すら覚えられていない状況で、NDPの支持率も上昇しない中、過半数を狙うには絶好のタイミングとの見方が強い。

 すべては自由党政権の思い描く勝利の方程式の実現に向かって進んでいるが、不確定要素はやはり新型コロナ。ここにきて、全国的に感染者数が増加し、変異株の影響もあり第3波は避けられない状況となっている。ワクチン接種が進んでいるとはいえ、感染状況のピーク時に選挙を強いれば国民の反発は必至で、解散の引き金を引いたことがあだになる可能性もある。

 過半数取りのために新型コロナ禍であえて選挙に踏み切るのか? 4月19日の予算案が注目される。

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