新カナダ総督に先住民のサイモン氏が就任、先住民とカナダ社会を結ぶ役割を

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Her Excellency the Right Honourable Mary May Simon, Governor General and Commander-in-Chief of Canada
Her Excellency the Right Honourable Mary May Simon, Governor General and Commander-in-Chief of Canada / Photo credit : Sgt Johanie Maheu, Rideau Hall © OSGG-BSGG, 2021

 カナダの第30代総督に先住民のメアリー・サイモン氏が就任した。先住民族から総督に選出されるのは初めて。

 7月26日の就任式でサイモン総督は「総督として、過去の緊張関係を未来の約束へと、賢明かつ思慮深い方法で結びつけるよう努めたい」と述べ、先住民族とカナダ社会の架け橋となるよう努力すると約束した。

 現在カナダではかつてのカナダ政府の政策レジデンシャルスクール制度時に強制的に寄宿させられた先住民の子どもたちの骨や墓標のない墓が全国各地の寄宿舎跡でみつかっている。またカナダ社会の先住民差別や政治家らの先住民族に対する差別発言が後を絶たず、批判が相次いでいる。

 トルドー自由党政権は2015年に政権を取って以降、先住民族との「和解:Reconciliation」を重要政策の一つと掲げているが、いまだに不十分との声が先住民から上がっている。

 そんな状況でサイモン総督が誕生した。サイモン総督は「私たち国民は、カナダの真の歴史を学ぶ必要があるということを国として学んだ。この真実を受け入れることで国として強くなり、カナダ社会が結びつき、最も状況が厳しいときにこそ常に最善を尽くさなければならないということを子どもたちに教えることができる」と語った。

 ジャスティン・トルドー首相は「(新型コロナ)パンデミックからの復興、気候変動危機との戦い、(先住民族との)和解の道を歩むなど、前例のない変化が起きている今、すべての人にとってより強いカナダを目指すサイモン総督のビジョンが必要」と述べ、そのビジョンとは、サイモン総督が述べているような、より包括的で公正かつ公平な社会の構築に向けた進歩を共有できるというビジョンだとも語った。

 サイモン総督の経歴は、先住民族の地位の確立とイヌイットの権利と文化を守るための活動、人権問題への取り組みなど、多岐にわたる。ケベック州北東部ヌナビク・カンギクスジュアク生まれのイヌイットで、イヌイット語を話す。ただカナダの公用語であるフランス語が流ちょうでないため、今後はフランス語を習得することにも努力するとしている。

メアリー・J・メイ・サイモン(Mary J. May Simon)

1970年代にCBCノーザンサービス(現CBCノース)のラジオキャスターとして活動。1982年のカナダ憲法改正に際し、他の先住民族リーダーとともに交渉に参加、先住民の権利と条約上の権利が正式に規定された。
イヌイット周極会議(現イヌイット周極評議会)議長、ヌナブト・インプリメンテーション・コミッションのコミッショナー、王立先住民委員会の共同政策ディレクター、イヌイット・タピリイト・カナタミ理事長、全国イヌイット教育委員長などの役職を歴任。北極圏子ども・若者基金を創設。
1994年に周極問題担当大使に就任し、イヌク(イヌイット)として初の大使となる。1999年より駐デンマークカナダ大使を兼任。

カナダ勲章、ケベック国家勲章や全国先住民業績賞など多くの褒章を受章。

経歴は在日カナダ大使館ウェブサイトより抜粋。

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