再び、自由党の少数派政権へ

973

 新型コロナ禍で行われた解散総選挙は、自由党が単独過半数をとれず再び少数派政権となることが確定した。9月20日に実施された第44回カナダ総選挙は、解散前とほとんど変わらない議席数でほぼ決着した。

 開票結果が落ち着いた9月20日深夜、自由党ジャスティン・トルドー党首があいさつ、「これから国民と一丸となって新型コロナを収束させていく」と語った。単独過半数を狙って仕掛けた解散総選挙で、前回とほぼ同じ議席数しか獲得できなかった自由党は選挙に勝ったとはいえ、トルドー党首のあいさつは勝利宣言とはほど遠いものだった。

 一方で、選挙前の支持率では少数派政権もあり得るとされ、得票率ではトップだった保守党だが、議席をわずかに減らしている。それでもエリン・オトゥール党首は、選挙後のあいさつで保守党も自分も次の選挙で自由党を倒すとの意気込みを語った。

 新民主党(NDP)もジャグミード・シング党首で臨んだ2回目の選挙で、前回から大きく議席数を伸ばすのではと期待されていたが、結局ほぼ同じに終わった。シング党首は21日午前中に会見を開き、議席数が思ったほど伸びなかったことについて、投票のあり方を疑問視した。比較的若い層に人気があるシング党首にとって、通常なら大学などで行われる投票は今年は新型コロナウイルス対策のため、実施されなかった。

 新型コロナ対策の影響で、投票所によっては長蛇の列で、中には投票をあきらめた有権者もいたと報道されている。特に、長時間立って待てない高齢者や障がい者、子ども連れなどにその傾向があったという。カナダ選挙管理委員会メディア担当者は、投票をあきらめた有権者には申し訳なかったと謝罪した。しかし、新型コロナ禍で実施された選挙で感染防止策などの対策が必要だったため仕方なかったと説明した。

 今回の選挙は発表当初から新型コロナ感染第4波の中で実施する必要があるのか、と自由党以外の党首が批判していた。選挙費用は約6億ドルと試算されている。前回2019年選挙よりも多い。新型コロナ対策が必要になったためだという。

 にもかかわらず、選挙結果は解散前とほとんど変わらない結果になった。最終的な数字はまだ分かっていない。郵送投票などの集計がすべて終了して最終結果が発表される。

 現時点では、当確と当選最有力を合わせた議席数は、自由党158、保守党119、ケベック連合34、NDP25、グリーン党2、カナダ国民党0となっている。

トルドー党首の去就に注目、各党首の今後は?

 連邦政党で初めて黒人女性を党首に立てて戦ったグリーン党だったが、アナミー・ポール党首自身が落選した。3度目の挑戦でも、トップから大差を付けられての落選に、党首として今後続けるのは厳しいとみられている。

 自由党トルドー党首、保守党オトゥール党首、NDPシング党首も、ほとんど変化がなかった議席数に、安泰とは言い難い。

 特にトルドー党首は、単独過半数を狙ってコロナ禍であえて解散総選挙に踏み切ったにもかかわらず、前回とほとんど変わらない議席数となった結果に、今回の公約実行でレガシーを残して次期選挙前には辞任するのではないかと早くも専門家が予測している。

 他党では今回の選挙結果精査と党首の再評価が行われる。

 結局今回は、大義も、争点もなく、6億ドルを費やしただけの総選挙となった。

合わせて読みたい関連記事