BC州、9月の新学期より登校授業再開へ

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 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府は7月29日、レイバーデイ明けの9月8日よりK-12年生までの教室での授業を再開することを発表した。12年生までは隔日登校ではなく、フルタイムでの授業に移行する予定だ。

9月から教室での授業再開へ

 BC州では新型コロナウイルス感染拡大を受けて、今年3月18日に非常事態宣言を発令してK~12年生までの公立学校が休校となった。その後、オンライン学習に移行、続いて6月1日より教室での授業を一部再開した。

 カナダで非常事態宣言後、2019-2020年の「年度」で学校を再開したのはBC州のみだった。しかし、フィジカルディスタンス確保のため5年生までは一日おきに交代で登校、6年生より12年生は週一回の登校というように「フルタイム」ではなく「パートタイム」での授業となった。
 
 新学年の開始を約1カ月後に控えて、新型コロナウイルス感染者数が再び上昇傾向にある中、生徒や保護者、教師、学校職員などの関心を集めているのが、「果たして9月から学校を再開できるかどうか」、「再開するならどのような形か」についてだった。BC州政府ロブ・フレミング教育大臣は、7月17日の記者会見で「(新学年が始まる)9月にできるだけ多くの子どもたちが学校に戻ることができるようにするのが目標だ」と明らかにしていた。

 「子どもたちの社交、学習、精神面での発達において、教室はなくてはならないものだ」と、学校再開決定にいたった理由を説明した。

気になる生徒や教師の安全確保対策

 学校再開計画の発表と同時に、州では子どもたちや教師、職員などの安全確保対策についても発表した。柱となるのは
・スタッフと生徒とのLearning Group(学習グループ)を作ること
・生徒とスタッフの安全と健康を確保するため4,560万ドルを支援すること
の2点だ。

 Learning Groupを作ることで、生徒やスタッフが接触する対象を限定して感染のリスクを減少させ、同時に感染が認されたときに接触者の追跡を迅速に行うことができるという。Learning Groupは小中学校で60人、セカンダリースクールで120人までとなる。

 このLearning Groupだが、同じグループの生徒が常に一緒にクラスで授業を受けるという形式ではないが、休憩時間、体育館、図書館、校庭などを一緒に利用する。例えば小学生の場合、2クラス、もしくは3クラスまでは、共同でプロジェクトなどを行ったり、同時に教室外に出ることができる。

 小中学校のLearning Groupの人数がセカンダリースクールより少ないのは、年齢が低い子どもたちはセカンダリースクールの生徒たちと比べてフィジカルディスタンスを確保するのが難しいためだ。

 中学校のある学校区とセカンダリースクールのみで中学校のない学校区もある。たとえば8年生の生徒がコキットラムだと中学校に通っているだろうし、バンクーバー市だとセカンダリースクールだ。このような事例の場合はどうなるのか、学年で分けるかとのバンクーバ―新報の取材に対し、教育省では、対応は各学校区で異なることから、それぞれ問い合わせるようにとのことだった。

 マスクの着用は各人の選択で強制はしない。また、個人の持ち物には名前を書いて、他人のものを使わないよう注意を喚起する。

安全対策などに4,560万ドル

 今回発表された4,560万ドルの支援は、人がよく触れる場所の消毒、手の衛生、要望があった際のマスクなど安全対策にあてられる。学校が再開すると、スタッフや生徒、保護者は毎日、新型コロナの症状がないか確認することが求められる。また、軽い場合でも何らかの症状があれば帰宅することになり、学校に残ることはできない。

 小中学校、セカンダリースクールの健康や安全のための新たなガイドラインついては、8月中に各学校区や私立校から保護者に連絡がある。新学期のLearning Group、スケジュール、入学手続きなど最終的な詳細は、8月26日にオンラインで発表される。

 「子どもたちが学校に戻ることは、多くの保護者が仕事に戻るために極めて重要だ」として、BC州衛生管理局長ボニー・ヘンリー博士は、(新学期の始まる)秋にかけても子どもたちの家族や家族の職場が引き続きフレキシブルに対応することを求めている。

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 新たに発表された学校における健康や安全対策
・フィジカルディスタンス確保のため、机やテーブルの配置を変更。
・グループごとに休み時間やランチの時間をずらす。
・屋外で生徒が過ごす時間を増やす。
・ドアノブ、キーボード、机、いすなどの人がよく触れる場所の清掃・消毒。
・すべての生徒、スタッフ、訪問者がスクールバスに乗る前、校舎に入る前、食事の前後、トイレや校庭の遊具の使用前に手を洗うことを徹底。
・フロントスタッフやバスドライバー、食事サービスを担当するスタッフに透明シートを一部設置。
・中学やセカンダリースクールでの課外活動は、異なるLearning Groupのメンバーの間でフィジカルディスタンスを保つことができる場合に行うことができる。
・課外活動やスポーツ、クラブなどで、Learning Group外の人と一緒になる場合は、2メートルのフィジカルディスタンスを確保。年少の生徒については、Learning Group外の人との接触を最低限にすることを推奨。
・州および連邦政府の規制により、カナダ国外に渡航した生徒やスタッフは、留学生も含めすべて14日間自己隔離することを求める。
・一部セカンダリースクールは、10週間で2コース履修とするなど学校のスケジュールを変更する可能性あり。(従来は1年間に8コース、あるいは半年で4コースの履修スケジュール)
・生徒数1500~2000人の大規模なセ
カンダリースクールでは教室での授業以外にオンライン学習などの利用も検討。

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病気を抱える子どもの保護者は、学校に戻ることに関するリスクについて、医療関係者に相談することを勧めている。また自宅での学習を希望する家庭はオンライン学習の申し込みやホームスクーリングを行うこともできる。

 BC州教職員組合 BC Teachers’ Federationのテリ・ムアリング会長は「慌てて作った計画で、多くの課題や問題点に対する答えがまだ得られていない」として、今回の州政府の学校再開についての発表に懸念を示した。

 BC Teachers’ Federationでは「教室での授業の再開は重要ではあるが、念入りな計画、適切なフィジカルディスタンス、教師やサポートスタッフの安全確保のためのトレーニングが授業再開までに必要だ」との見解を明らかにしている。
 
 娘が9月から2年生というHOさんは「娘を学校に行かせることには不安はありますが、それでも級友と机を並べて学ぶことで得るものの大きさを考えると、学校が再開するということでうれしいです」と語った。