ふわふわ、もふもふ。世界で人気の孤児のラッコ、ジョーイ

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保護された直後のジョーイ Photo ©Vancouver Aquarium/Ocean Wise
保護された直後のジョーイ Photo ©Vancouver Aquarium/Ocean WiseAssociation

バンクーバー水族館の関連機関オーシャンワイズ海洋生物保護センター(Ocean Wise Marine Mammal Rescue Centre)が、2020年7月にブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー島北部でラッコの赤ちゃんを保護した。

 つぶらな黒い瞳のラッコをジョーイと名付けて、ライブカメラで成長の様子を配信し始めると、その愛らしさでジョーイは瞬く間に世界の人気者になった。

保護された最初の日のジョーイ Marine Mammal Rescue CentreのYouTube

 センターは「ジョーイのファンから、パンデミックの中、不安やうつ、不眠からジョーイが救ってくれたと聞いている」と言う。ジョーイが昼寝や食事をしたり、泳いだりする姿をウェブカムで眺めているだけで癒されるという人も多いのだろう。

一人ぼっちの赤ちゃんラッコを保護

 あお向けの母親のお腹の上の赤ちゃんラッコ。生まれたてのラッコはうまく泳げないので、水上で世話をするのは母親の仕事という。Ocean WiseのYouTubeビデオより。”Decoding Cute Sea Otter Behaviour | Ocean Stories 
 このビデオではラッコの生態、「なぜラッコ同志で手をつなぐか」「自分の顔をマッサージする理由」なども知ることができる(英語)

https://www.youtube.com/watch?v=De8vZW8ws6o

 夜どおし鳴いているのを聞いた住民が通報したことがきっかけで、センターのスタッフが探索してジョーイを保護した。付近では母親とみられるラッコの死体も発見したという。

 保護された7月3日時点でのジョーイの体重は1760グラムで、生後10日ほどとみられていた。低体温でお腹を空かせていた赤ちゃんラッコを、当初はスタッフが24時間体制で看護を続けた。

 生まれたてのラッコはあお向けになった母親のお腹の上で大きくなるという。 

 「ラッコは体毛のおかげで冷たい水から体温を守り、浮力を得ている」、「1日のほとんどの時間をグルーミング(身づくろい)に費やす」と言われるほど大切なグルーミングを、赤ちゃんの間してくれる母親をジョーイは失った。

 代わって、センタースタッフが餌をあげたり、グルーミングもしてきた。

ジョーイがまだ赤ちゃんだったときの動画。スタッフが母親に代わってグルーミングする姿も見ることができる。 Marine Mammal Rescue CentreのYouTube

野生に戻すことはできず、バンクーバー水族館へ

 ジョーイは33日間センターで暮らしたあと、バンクーバー水族館に移された。

 その前に、適切なケアを受けているかカナダ水産海洋省がジョーイの様子を確認している。保護されたとき生後10日と、生まれてすぐに母親と死に別れたことから、食べ物を見つける、捕食者から身を隠すなど、野生で生活するためのスキルをジョーイは学ぶことができなかった。結果、野生に戻すことは不可能と判断されて、水族館に移ることとなった。

泳ぎもスタッフが教えた Marine Mammal Rescue CentreのYouTube

 海洋生物保護センターのYouTubeチャンネルで、ほかにも愛らしい動画を見ることができる。

・Joey Meets New Friends(ほかのラッコたちを紹介)
https://www.youtube.com/watch?v=3GcdoKwqJNA
・Joey and his Ice Cube Treasure(大好きな氷を前にしたジョーイの様子)
https://www.youtube.com/watch?v=CsdUiRlJMH4
・海洋生物保護センターのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC7BIY40WypVskXod63fu-Tw

 海洋生物保護センターでは、ラッコ以外にもアザラシなどを保護してビデオで配信している。

ジョーイやバンクーバー水族館をサポートできる

 ラッコは海洋生物の中でも最も食欲旺盛な生き物の一種で、1日に食べる餌の量は体重の25パーセント近くという。体重50キログラムの人で換算すると12キログラムになる。

 ジョーイは既に生後6カ月を過ぎ、保護した当初のように24時間体制でのケアは必要ない。それでも1カ月の餌代だけでも約1,200ドルかかり、バンクーバー水族館には現在ジョーイ以外に6匹のラッコがいる。ラッコの餌代だけでも1カ月に8,400ドルの計算だ。

 パンデミックで深刻な財政難に陥ったバンクーバー水族館は2020年9月に閉館したが、海洋生物たちは今も水族館で暮らしている。そのため、餌代や光熱費、世話をするスタッフの人件費ほか、かなりの費用が引き続き必要となっている。

 ジョーイや水族館、海洋生物保護センターの活動をサポートしたい場合、さまざまな方法がある。
・バンクーバー水族館とホワイトキャップスのコラボマスクを購入する。
https://vanaquashop.org/vancouver-aquarium-whitecaps-non-medical-facemask/
・寄付(ジョーイ、もしくはバンクーバー水族館へ寄付ができる)
ジョーイへの寄付
https://secure2.convio.net/vamsc/site/Donation2;jsessionid=00000000.app263a?3547.donation=form1&df_id=3547&mfc_pref=T&NONCE_TOKEN=0A1AF185971358C56305B3B6E06935C4
・水族館のショップで買い物をする。水族館は閉まっているが、ウェブサイトでショッピングは可能。
https://vanaquashop.org/
・ショップでは海藻ベースのハンドサニタイザーも販売している。
http://vanaquashop.org/kelping-hands-hand-sanitizer-120ml/

見ているだけで癒されると人気Photo©Vancouver Aquarium/Ocean Wise
見ているだけで癒されると人気Photo©Vancouver Aquarium/Ocean Wise

 *ジョーイカム(Baby Otter Cam)にYouTubeでアクセスすると世界中の人のコメントを見て、つながることができた。

 センターでは現在は “Watch Baby Sea Otter Joey And His Friends Live”(https://www.youtube.com/watch?v=zxYribbndTM)で、ジョーイが他のラッコと一緒に暮らす様子を配信している。YouTubeではコメント投稿が制限されているため、ジョーイたちを見ながら世界の人とつながるには、チャットアプリのDiscordからとなる。(YouTubeのコメント欄にDiscordへのリンクあり)
 

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参考:「ラッコの赤ちゃんメイ誕生」鳥羽水族館『Super Aquarium』: https://www.aquarium.co.jp/more/pdf/46.pdf

(取材 西川桂子)

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