ワクチンがいつ届くのか分からない-苦悩する薬局

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混乱が続く薬局でのアストラゼネカ接種 1

 急きょ3月31日に始まった薬局でのアストラゼネカ製ワクチン接種。サンシャインコーストのロンドンドラッグスで薬局長として勤務する佐藤厚さんに、その後の状況を聞いた。佐藤さんは、バンクーバー新報コラム『お薬の時間ですよ』の連載でもお馴染みだ。

 混乱が続く薬局での状況を3回に分けてリポートする。1回目は薬局へのワクチン供給の現状について。

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 先日、話を伺ったときには、佐藤さんの薬局ではまだ接種は始まっていませんでしたね。
 
 その通りです。3月31日の時点では、ブリティッシュ・コロンビア州薬剤師協会の公表する、アストラゼネカ製新型コロナウイルスワクチンの接種を行う薬局リスト(https://www.bcpharmacy.ca/resource-centre/covid-19/vaccination-locations)に、私の薬局は入っていませんでした。

 しかしながら、4月1日になって、このリストに名前が出ているから予約をしたいという問い合わせがきたので、急いでウェブサイトを確認してみると、本当に名前が出ていてビックリしました(笑)。

 本社の担当者に州政府に確認してもらって、本当にワクチン接種を行うことになったのは分かったのですが、肝心のワクチンの在庫がありません。この状態では、問い合わせに対応することができないので、一旦リストから名前を外してもらいました。

 前回のインタビューで接種を行う薬局に選ばれたからといって、すぐにワクチンの供給があり、接種を開始できるわけではないと伺いました。

 そうなんです。事前にワクチン接種機関に選ばれるとの連絡はなく、またいつワクチンの供給が始まるかが分かりません。シリンジや個人防護具などの準備はありましたが、何よりも人員体制を整える必要がありました。

 特にいつワクチンが届くのかは前もって知りたいでしょうね。

 全くその通りです。どれだけワクチン接種のできる薬剤師がスタンバイしていても、ワクチンがなければ何もできません(笑) 。

 本社の方でも、ワクチンの入荷については手探りだったと思います。現段階では、薬局から通常のオーダーシステムを使って発注することができません。その代わりに、ある日突然「明日届けます」というお知らせがくるみたいな感じです。
 
 ワクチンが州政府から本社に届いたあと、ギブソンズにある私の薬局へ配送される方法も通常とは異なりました。

 4月4日の日曜日、偶然にも私がバンクーバーにいるときに本社からテキストメッセージが届き、ワクチンをギブソンズに届けたいと言われました。そこで、私の薬局に供給された100本分のワクチン*を、一旦ウエストバンクーバーの店舗に届けてもらい、私自身がこれを集荷してギブソンズまで運びました。こんな経験はもちろん初めてです。

(*編集部注:アストラゼネカワクチンは10人分の量が、1つのバイアル⦅ボトル⦆に入っていて、10のバイアル、100本分を運んだとのこと)

 超低温での保管を要するファイザー社やモデルナ社のワクチンとは異なり、薬局で使用するアストラゼネカ社のワクチンは、摂氏2度から8度の冷蔵保存ができます。それでも、自分の車に乗っているのが、初めてギブソンズにやってくる100本分の貴重なワクチンだと思うと、非常に緊張しました。

 100本分というのがどれぐらいの量なのか、想像しづらいのですが…。

 毎年秋に行うインフルエンザの予防接種キャンペーンでは、1回に200~300本のワクチンが数日おきに保健所から供給されます。アストラゼネカ社のワクチンの数は、これに比べると非常に少なかったです。私が日曜日に配達したワクチンは、同週の水曜日と木曜日の2日間で使い切ってしまいました。

 血栓症の懸念からアストラゼネカ社のワクチン接種を躊躇(ちゅうちょ)する人もいる一方で、多くの人がワクチン接種を受けたいと分かりました。ウエイトリストもいっぱいです。

 次がいつくるのか、今も分からないのでしょうか。

 一応、本社からは「毎週ワクチンを送る予定です」とは言われていて、実際に2週連続で配達されました。しかし、配達がいつになるかというのは、いつもよく分かりません。

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ロンドンドラッグスのウェブサイトでは、対象者はアストラゼネカ製ワクチン接種の予約ができる。
https://pharmacy.londondrugs.com/HealthClinics/FeaturedArticles/COVID-19-Vaccinations

ブリティッシュ・コロンビア州薬局協会のウェブサイトでは、ワクチン接種機関となったすべての薬局を確認することができる。
www.bcpharmacy.ca/resource-centre/covid-19/vaccination-locations

佐藤厚

新潟県出身。薬剤師(日本・カナダ)
2008年よりLondon Drugs(Gibsons)勤務
2014年、国際渡航医学医療職認定(CTH)を取得し、薬局内でトラベルクリニックを担当
2016年、認定糖尿病指導士(CDE)
2019年からは薬局長を務め、マネジメントに奮闘

バンクーバー新報でコラム『お薬の時間ですよ』を連載。

*記事は2021年4月22日時点での情報に基づく

(取材 西川桂子)

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