薬局関係者も今後の動向に注目するワクチン接種

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混乱が続く薬局でのアストラゼネカ接種 3

 急きょ、3月31日に始まった薬局でのアストラゼネカ製ワクチン接種。サンシャインコーストのロンドンドラッグスで薬局長として勤務する佐藤厚さんに、その後の状況を聞いた。佐藤さんは、バンクーバー新報コラム『お薬の時間ですよ』の連載でもお馴染みだ。

 混乱が続く薬局での状況を3回に分けてリポートする。最終回はワクチンの効果や、薬局で働く佐藤さんならではのアドバイスとリクエスト。

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ワクチンによって接種後の予防効果も異なるとされています。

 各社のワクチンの有効性(いずれも2回接種後)を比べると、ファイザー社やモデルナ社では90%を超え、アストラゼネカ社でも70%と言われています。毎年行うインフルエンザワクチンでは40%から60%(https://www.cdc.gov/flu/vaccines-work/vaccineeffect.htm)で、年によって大きなバラツキがありますから、それに比べると、コロナウイルスワクチンは非常に優れたワクチンであることが分かると思います。

 薬局でのワクチン接種ということで、接種証明はどうなっているのでしょう。政府が出すことになっているカード状の証明書はロンドンドラッグスさんでは出ませんよね。

 接種証明は薬局に任されています。私の薬局ではコンピューターで作成したものをEメールで送り、また同じものをプリントアウトして渡すようにしています。ポケットサイズのカードではありませんが、印刷設定を変えればなんとかカードのサイズにはなると思いますので、今度やってみます。

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州では「Health Gateway」という、接種記録や薬の服用歴、またCOVID-19の検査記録をオンラインで一元管理するシステムを導入しました。ただ、現時点において、私の薬局の患者さんでこの存在を知っている人は、あまり多くないと思います。
https://www2.gov.bc.ca/gov/content/health/managing-your-health/health-gateway

 薬局での接種ということで、誰が予約したかの管理は難しくはないですか? アメリカのニュースで、接種の順番になっていない人が多数予約していたため、接種会場が大混乱になったという話を聞きました。順番を守らず「潜り込もう」という人はいませんか?

 たまに潜り込みが疑われる方もいますが、幸いにも混乱には至っていません(笑)。アストラゼネカは年齢制限もありますので、接種前には患者さんを間違えないようにするためにドライバーズライセンスのようなIDをしっかり確認するようにしています。

 ある薬局で期限がきれたワクチンを接種していたという記事を読みました。本当でしょうか。

 私も、そのニュースの記事を読みました。安全性と効果が気になりますよね。

 アストラゼネカワクチンは10人分の量が、1つのバイアル(ボトル)に入っています。このバイアルは、一番最初に使い始めた時点から48時間以内に使わなければなりません。調味料などでも、開封後は一定期間に使い切る必要があるのと同じです。

 このニュースの場合「期限切れ」の意味が、ロットの有効期限が切れていたのか、それとも開封後48時間以上が経過したのに接種してしまったのか、分かりかねます。

 ただ、私の薬局でもそのようなことがないように、1回に入荷される量に合わせて100人単位で予約を取り、またワクチン開封後に期限切れにならないよう、2日連続でワクチン接種の日にちを設けるようにしています。もちろん、バイアルの有効期限も確認しています。

 薬局での接種が始まっての感想・コメントをお願いします。
 
 先にもお話したとおり、アストラゼネカ社のワクチンの接種を受けたい人が多くて驚きました。誰もが各種規制や自粛、感染の不安でストレスが溜まっていましたから、ワクチンを接種したことで、本当に喜んで薬局をあとにされます。

 現在は45歳以上の方でも、州のプログラムを通して、ファイザー社やモデルナ社のワクチン接種に登録することができます。つまり、55歳以上の方の場合、ワクチンには複数の選択肢があることになります。

 一方、今後20代や30代の若い年代では、どれだけの人がワクチン接種を受けるのか、また、ワクチンの安全性の確立が急がれるエレメンタリースクールの年齢層の接種はどうなるかなど、動向が注目されます。最近になって、隣国アメリカでは、当局がジョンソン&ジョンソンのワクチン接種を中断を勧告したように、安全性を巡る動きからは目が離せません。

 みなさんにお願いと提案です。4月に入って急きょ始まった、新型コロナウイルスワクチン接種のために、薬局の通常業務に大きな滞りが出ているところが多くあります。

 待ち時間は通常よりも長くなっていますので、いつもよりも少し早めに処方箋のリフィルのオーダーをするようにし、また新しい処方せんの場合は、一度薬局に連絡して、ピックアップ希望の日にちや時間を伝えるようにしてください。これにより、感染リスクの高い店舗内にいる時間を短縮することができます。

 また、配達(デリバリー)をしている薬局であれば、是非このサービスをご検討ください。すでにワクチン接種を受けられた方であっても「Stay safe!」を意識した行動が大切です。

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ロンドンドラッグスのウェブサイトでは、対象者はアストラゼネカ製ワクチン接種の予約ができる。
https://pharmacy.londondrugs.com/HealthClinics/FeaturedArticles/COVID-19-Vaccinations

ブリティッシュ・コロンビア薬局協会のウェブサイトでは、ワクチン接種機関となったすべての薬局を確認することができる。
www.bcpharmacy.ca/resource-centre/covid-19/vaccination-locations

佐藤厚

新潟県出身。薬剤師(日本・カナダ)
2008年よりLondon Drugs(Gibsons)勤務
2014年、国際渡航医学医療職認定(CTH)を取得し、薬局内でトラベルクリニックを担当
2016年、認定糖尿病指導士(CDE)
2019年からは薬局長を務め、マネジメントに奮闘

バンクーバー新報でコラム『お薬の時間ですよ』を連載。

*記事は2021年4月22日時点での情報に基づく

(取材 西川桂子)

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