19歳になったら考えたい、アドバンス・ケア・プラニング 前編

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 隣組が5月28日、アドバンス・ケア・プラニング(Advance Care Planning: ACP、事前医療ケア計画)のセミナーをZoomで開催した。

 講師を務めたのはフレイザーヘルスからアドバンス・ケア・プラニングの専門チームメンバーの看護師のローレン・トーマスさんとソーシャルワーカーのアンドリュー・サンダーソンさん。

 セミナーの内容から、アドバンス・ケア・プラニングと、もしものときに意思決定を行う代理人についてと、2回に分けてリポートする。

高齢者だけの問題ではない、アドバンス・ケア・プラニング

 アドバンス・ケア・プラニングとは、自分で意思決定ができなくなる状況に備えて医療・ケアに関する要望を事前に考え、伝えておくプロセスのことをいう。

 高齢者の問題で自分とは無関係と考える人もいるが、現在、医療を必要としないような若い人や元気な人でも、急に思わぬ病気になるかもしれない、あるいは交通事故に遭うかもしれない。いつ、誰がアドバンス・ケア・プラニングの当事者になるかわからない。

 「19歳以上の人はアドバンス・ケア・プラニングについて考えてみてください」と講師の二人は呼びかけた。

 フレイザーヘルスが作成した資料にも「アドバンス・ケア・プラニングは、健康の良し悪しにかかわらず、私たち誰もがすべきことです」とある。

大切なものは何ですか? 何をしてほしくないですか?

 医療ケアに関する意思決定は、自分の価値観や信念・信仰に左右される。たとえば、何としてもできるだけ長く生きたいと望む人もいれば、役に立つかわからない検査や治療は受けたくないと思う人もいる。

 生活や健康状態の変化にともない大切なことも変わる可能性もあるが「まず今、何が大切なのか考えよう」という。

 アドバンス・ケア・プラニングを行う際の検討事項例には

  • 健康状態が低下し意思の疎通ができなくなった場合、自分にとって何が重要か?
  • 希望する医療ケアの決定に関わる信念を持っているか?
  • 「こんなことは嫌だな」と恐れていること (例、家族の負担になりたくない)
  • 自分の代わりに誰に医療・ケアの意思決定をしてもらいたいか? またはしてもらいたくないか?
  • どの医療・ケアなら受け入れられるか? どれを拒否すると思うか?

などがある。

 セミナーで講師は「こういう治療は嫌だ」というようなネガティブな部分にスポットを当てるのではなく、ポジティブなことに重点を置いた。

 「教授だった父親にWhat is your joy?(何をするのが楽しいのか)聞くと、Eat ice cream and watch football.(アイスクリームを食べてフットボールの試合を見ること)と返事がありました。ではそのJoyを維持するために、どのような治療を行うのか? という方向に話をつなげていきます」と説明した。

 「こういう治療は嫌だ」と考えることは、自分の将来の健康状態を予測するような形になる。しかし、事故に遭うかもしれないし、どのような病気になるかは分からない。受けたくない治療をすべて書き出すことには無理がある。

 「『死ぬまでにどのような治療を受けたいか』ではなく、『皆が迎える死までを、どのように生きたいか』ということを考えてみましょう」と述べた。

その上で、そういった意思を

  • 家族や友人に伝えておく
  • 代理人(Representative) を決めておく
  • 代理人の連絡先を冷蔵庫ドアなどに貼って保管しておく
  • Family Doctorに知らせておく

ことが大切だと説明した。

参考資料

www.advancecareplanning.ca

(取材 西川桂子)

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