渡航時に優遇を受けるためのワクチンパスポート導入が世界で本格化(更新)

623

日本のワクチン接種証明書が使用可能な国は18カ国に

 日本政府がワクチン接種証明書の申請受付を始めた7月21日時点で、イタリアやオーストリアなど6カ国では、すでに入国の際にワクチン接種証明書を提示することでPCR検査や隔離が免除されるようになっていた。

 その後もワクチン接種完了者への入国時の優遇措置が世界各地で進んでいて、8月11日付けで外務省が発表している「海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書が使用可能な国・地域」は以下のようになっている。

・イタリア
・オーストリア
・スリランカ
・スロバキア
・セントクリストファー・ネービス
・セントビンセント
・タイ(プーケット島、サムイ島、パンガン島、タオ島のみ)
・ドイツ
・トルコ
・パプアニューギニア
・ブルガリア
・ベリーズ
・ポーランド
・香港
・ホンジュラス
・リトアニア

さらに以下の2カ国を加え18カ国となっている。
・韓国(ワクチン接種証明書が隔離免除書発行に必要な書類のうちのひとつである「予防接種証明書」として認められる)
・エストニア(日本の新型コロナワクチン接種証明書を認証するとしているが、現在入国後の隔離及び入国時のPCR検査についてはワクチン接種の有無にかかわらず不要)

カナダで進むワクチン接種完了者への入国規制緩和

 カナダでもワクチン接種完了者への規制緩和が始まっている。まず7月5日より、現在カナダへの入国が許可されていて、ワクチン接種を完了している人は、空路での入国時の政府指定ホテル3日間隔離を含む14日間の自己隔離、8日目のPCRテストが免除されるようになった。

 続いて8月9日より、アメリカに住むアメリカ市民権や永住権を持つ接種完了者は、観光目的でのカナダ入国が可能になった。

 ワクチン接種完了と認められるには、カナダ政府が承認しているワクチンの接種を入国14日前までに終えて、その証明書をArriveCANで提出する必要がある。 

ワクチンパスポートで日本からカナダへの観光が9月7日より可能に

 そのほかの国からの接種完了者が観光などでカナダに入国ができるようになるのは9月7日からの予定で、ワクチン接種を完了した人への優遇措置を受けるには、英語かフランス語のワクチン接種証明書を提出しなければならない。

 つまり規制緩和が予定通りに進めば、9月7日より日本人や日本でワクチン接種を終えた人も、カナダ入国時にワクチン接種証明書、いわゆるワクチンパスポートがあれば、観光での入国に加え隔離免除などの優遇措置を受けることができるという。

 一方、カナダ連邦政府はカナダでワクチン接種を受けたカナダの市民権や永住権などを持つ人に対して、海外に渡航する際の、全ての州や準州で共通のセキュアでデジタルのワクチン証明書をこの秋を目途に導入することを8月12日に発表した。

入国規制以外にも進むワクチン接種完了者への優遇はケベックやフランスでも

 入国規制以外でも、ワクチン接種完了者への優遇や特定のサービスを受けるためのワクチン接種証明書提出の義務化が世界各地で始まっている。

 カナダではケベック州がワクチンパスポートの導入を8月10日に発表。9月1日からフェスティバルやバー、レストラン、ジムなどで提示を求められるようになる。

 フランスでは7月21日から、美術館などの文化・娯楽施設でワクチン接種完了証明書の提示義務化が始まった。入場時にワクチン接種完了を示すワクチンパスポートや陰性証明の提示が求められている。

 アメリカでは、ロサンゼルス・ドジャースが5月中に行われた9試合で接種完了者専用の座席を別販売した。また、各地で入場をワクチン接種者に限定してのコンサートも開催されている。ニューヨーク州ではワクチン接種を証明するエクセシオールパスを導入。ワクチン接種を入店条件としている一部レストランが活用している。

 このようにワクチン接種を終えている人になんらかの優遇措置を行うことが世界で増えている。

日本の接種証明書は海外渡航用

日本のワクチンパスポート。厚生労働省のウェブサイトより。
日本のワクチンパスポート。厚生労働省のウェブサイトより。

 このような状況を受け、日本でも海外渡航用の新型コロナワクチン接種証明書の発行受付が7月26日に始まった。

 この証明書は、海外に渡航する人のために新型コロナウイルスのワクチン接種を終えたことを証明する、いわゆる「ワクチンパスポート」のことで、厚生労働省が発行する。申請は住民票のある各市町村で行う。

 記載されるのは、接種者の氏名、生年月日、ワクチンの種類、接種年月日、旅券番号など。日本語と英語での表記で、偽造防止対策も行う。

 接種証明書は現時点では海外渡航用で、渡航先で利用する予定がない場合は発行しないという。日本でワクチン接種の証明が必要な場合は接種記録書などを使う。

 発行を受けるには以下が条件となる。当分の間は海外渡航時の利用以外を目的としないという。
・予防接種法に基づく新型コロナワクチンの接種を受けている(医療従事者への接種、職域接種、自治体発行の接種券を用いての接種を受けていること)
・日本から海外へ渡航する際、接種証明書を所持していることで渡航先で防疫措置の緩和が受けられるため、証明書を必要としている

空港でのワクチン接種は外務省が証明書を発行

 外務省が、日本国内に住民票を有しない海外在留邦人で、在留先での新型コロナウイルスのワクチン接種に懸念などを有し、日本に一時帰国してワクチン接種を行うことを希望する人を対象に、成田と羽田空港でワクチン接種を行っている。

 この事業で接種を受けた人は厚生労働省からの証明書発行の対象外となる。

 外務省が接種記録書と接種証明書を発行するため、2回接種後に外務省に発行を申請する。外務省発行の接種証明書は「国内接種事業で発行される証明書のフォーマットと同様のものを予定している」(バンクーバー新報からのEメールに対する7月29日付けでの外務省新型コロナワクチン接種コールセンターからの回答)という。

 また、外務省からの接種証明書の発行は、空港での接種事業を利用して2回の接種を受けた場合のみが対象。1回のみの接種(職域接種をはじめ、ほかの枠組みと併用するなど)は接種証明書発行の対象とならない。

 (取材 西川桂子)

合わせて読みたい