「コロナと生きる知恵〜専門家に聞く〜」

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日加ヘルスケア協会がオンライン健康セミナーを開催

 日加ヘルスケア協会が2021年12月15日、オンライン健康セミナー「コロナと生きる知恵 〜専門家に聞く〜」を開催。4人の専門家が講演を行った。

新型コロナウイルス感染予防のカギは人との接触

田中朝絵医師はワクチンの効果をグラフで示した。©The Vancouver Shinpo
田中朝絵医師はワクチンの効果をグラフで示した。©The Vancouver Shinpo

 家庭医の田中朝絵医師は「家庭医からみたCOVID-19の効果的な予防法」について。

 具体的な予防は「ウイルスの数を減らすこと。マスク、手洗い、三密を避けるほか、具合が悪いときに人と接触しないことが重要」と話す。

 ウイルスの数は、周りの感染者の数で決まる。感染者数のマップ(http://www.bccdc.ca/health-info/diseases-conditions/covid-19/data#maps)などを利用し、感染者が多い地域を訪れるのは控えたほうがいい。

 そして大切なのは健康保持。病気や疲労、ストレスなどで健康状態が良くないとコロナが悪化する場合も。さらに予防接種などでの免疫向上がキーとなる。

 ワクチンの効果についてはグラフで説明。感染者数、入院患者数、死亡者数ともに、ワクチン接種者は未接種者に比べて少ないことがわかる。

 日頃、特に心がけたいのは「病気のときは人との接触を避ける、屋外での運動、十分な睡眠、水分補給」。さらに「コロナ以外の病気にも気をつけて。コロナ感染を恐れて検査を受けず、早期発見が遅れるケースも」と注意を促した。

Photo courtesy of Dr. Asae Tanaka, Nikka Health Care

コロナと妊娠―ワクチンは妊婦にも安全

 産婦人科医のナオ・ナカツカ医師は「COVID-19と妊娠」について解説。妊娠後、コロナ感染のリスクが大幅に上がることはなさそうだが、妊婦が感染すると、妊娠していない女性に比べ重症化するリスクは高くなる。そして早産、死亡の可能性が高くなるという。

 ただし重症化の危険はあるものの、ほとんどの場合症状は軽く正期産。妊婦の重症化の危険因子は年齢(35歳以上)、喘息、肥満など。

 赤ちゃんについては、子宮内感染を示唆する報告は数例あるものの、新生児への重篤な影響は報告されていない。

 ワクチンは妊娠の有無に関わらず同等の効果があり、多くの国際的な医療機関が妊婦、授乳中の女性、妊娠予定の女性に接種を勧めている。また妊婦がワクチン接種すると、抗体が赤ちゃんにも運ばれるので、赤ちゃんにも効果があると考えられるそうだ。

不安と向き合うことが大切

 心理カウンセラーのカサクラング千冬さんは「コロナ禍の不安への対処法」がテーマ。

 「不安は一人ひとり違います。まず自分が何に対して不安なのかを突き止め、そこから対処を。例えば感染が不安ならマスクや消毒など、自分でできる予防を徹底して」と述べた。

 人間は悪い方向へと想像を膨らませてしまうもの。体は想像があたかも現実のように反応し、胃の痛みなどの症状として出てくるという。

 「不安を素直に受け入れ、そこから何ができるかを考えましょう。問題ではなく解決に目を向けて。そして自分の努力を認め、自信を持ってください」と呼びかけた。

進化するコロナの予防と治療

 感染症専門のヤスミン・アリカン医師は「COVID-19の予防と外来治療」について説明した。

 ワクチンは感染率、入院率を下げ、感染しても症状を軽くすることができる。現在カナダでは、ファイザーなどのワクチンが承認されているが、いずれも入院のリスクは90%以上減少するという。

 また三回目接種とブースター接種の違いについても解説があった。三回目接種は、中等度〜重度の免疫不全患者に対するもの。一方ブースターは、十分な免疫反応が起きても時間の経過で免疫レベルは低下するため、防御効果を回復する目的で行われる。

 外来治療に関しては研究が進むにつれ、治療法も変わっているそうだ。現在は特定の集団に対しモノクローナル抗体、ブデソニド(吸入)が行われている。将来的に期待できる抗ウイルス薬は、ウイルスとその複製に影響を与えるもので、現在、許可を待っているという。

コロナの現実と今後…体験談と質疑応答

 コロナ感染者によるリアルな体験談も発表された。この感染者は5月頃、一回目のワクチン接種後に感染。家族全員が感染し、なかでもワクチン未接種で持病のある家族の症状は重かったという。

 質疑応答でも多くの質問が寄せられた。「夏に日本帰国を考えているがどう思うか」という質問に、アリカン医師は「端的に言えばわかりません。状況は常に変わっていますから。私なら今の時点で(航空券の)予約はしないです」と回答。田中医師は「私なら(キャンセル時に)返金があるかチェックしてから予約するでしょうね」と話した。

*同セミナーの動画は、日加ヘルスケア協会のサイト上で公開中。http://www.nikkahealth.org/12467125251249038306368992477322577

日加ヘルスケア協会(NHCS)
ウェブサイト: www.nikkahealth.org
メールアドレス:office@nikkahealth.org

(取材 宗圓由佳)

*セミナー内情報は2021年12月15日時点のもの。