心と体を楽しく過ごす交流の場、「脳の運動教室」

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カルガリーのFCいづみさんのリードによるコグニサイズ。Photo courtesy of West Coast Healthy Memory Society
カルガリーのFCいづみさんのリードによるコグニサイズ。Photo courtesy of West Coast Healthy Memory Society

ウエストコースト・ヘルシー・メモリー・ソサエティー 

 新型コロナウイルス禍でステイホームが推奨されるなか、カナダ全国に在住する日本人を対象に非営利団体(NPO)West Coast Healthy Memory Society(以下WCHMS)が「脳の運動教室」を行っている。すでに約600人もの参加があり、昨年はファシリテーターの菅野久志さんがバンクーバー新報ウェブサイトで20回にわたり教室の状況を楽しくリポートしている。

 今回はWCHMSについて、代表のプール希美さん(以下「キミさん」)と菅野久志さん(以下「ひさしさん」)に話を聞いた。

対面教室での脳トレ。Photo courtesy of West Coast Healthy Memory Society
対面教室での脳トレ。Photo courtesy of West Coast Healthy Memory Society

– West Coast Healthy Memory Societyとは?

キミさん:2019年に発足したNPO団体で、高齢者の心と体の健康と、認知知能の向上をミッションとし、認知症予防のプログラム「脳の運動教室」をメインに、*野外交流会や*ヘルスショーなどを行っています。
(*新型コロナ規制のため一部イベントは保留中)

– 脳の運動教室に関しては、すでに600人もの人たちが参加されたのですね!

キミさん:3年前に発足した際はバンクーバーで対面教室を行っていましたが、2020年からはコロナ禍となりオンラインプログラムに移行しました。去年は、外務省からも助成金がおりたので、カナダ全土の日本人を対象に無料でオンラインプログラムを提供できたんですよ。

ユーコン準州からニューブランズウィック州まで、30代から90代と幅広い年齢の方が参加してくださいました。

ズームでの座談会。Photo courtesy of West Coast Healthy Memory Society
ズームでの座談会。Photo courtesy of West Coast Healthy Memory Society

-「脳の運動教室」ではどんなことをするのですか?

ひさしさん:参加型の教室で、体操やコグニサイズ(脳と体を同時に動かすエクササイズ)、毎週違うテーマで作成した音読教材や簡単な計算、数字盤、座談会、ゲーム、バーチャル日本旅行やゲストスピーカーの講演など、いろいろなプログラムを用意しています。脳の活性化を目指し、記憶力や集中力、コミュニケーション力の向上を図っています。

– 新報ウェブでも教室の内容を連載されていたので、私も1つ試してみましたが、面白かったです! ピアノを弾くので右手左手と違う作業をするのは簡単だと思っていたのですがなかなか難しかったです。

対面教室でのコグニサイズ。Photo courtesy of West Coast Healthy Memory Society
対面教室でのコグニサイズ。Photo courtesy of West Coast Healthy Memory Society

ひさしさん:左右、手の動きが違う運動だったということは、コグニサイズですね。例えば、片手でグー、パー、グー、パーして、反対の手でグー、チョキ、パーといった具合ですよね。頭ではわかっているつもりでも、思い通りに手が動かないので、悔しいですよね。

キミさん:ちょっと難しいくらいじゃないと脳の活性化にはつながりませんからね!(笑)

私たちの提供しているプログラムは、参加者の皆さんが楽しむことを一番に作っていて、できる、できない、にフォーカスするのではなく、遊び感覚で楽しんでもらえる内容となっています。

そのおかげで参加者のみなさんが徐々に変わっていくのも実感します。お化粧をするようになったり、シャイな人が積極的に発言するようになったり、あとはここが情報交換の場になって、みんなが生き生きと発言する場になってくれましたよ。

ひさしさん:あとは皆さんすごく笑顔ですよね!

キミさん:プログラムを提供している立場ですが、参加者の方たちがすごく楽しいので、刺激をたくさんもらっています。

– お二人と話していると、プログラムがすてきなんだろうなということが伝わってきます。コロナ禍で一人暮らしの方の孤立化が懸念されていますが、このプログラムを通して、人とのつながりも増えて、楽しそうですね

キミさん:その通りです!本団体は、認知症にならないようにすることが目的ですが、それには、高齢者の孤立を予防すること、心と体と脳を元気にすることが含まれています。

ひさしさん:カナダの日本人のコミュニティって、中国や韓国またインドからの移民と比べると小さいだけに日本人同志のつがなりが薄くて孤立している日本人の高齢者が多いように感じます。でも病気になったときこそ、日本語が恋しくなって、日本人とのつながりを必要とされる傾向にあります。僕たちの活動を通して、セーフティーネットワークの構築という意味でも、孤立した日本の方を救いたいと思っています。

キミさん:それに高齢者の方々が本プログラムを通して心身ともに元気になってくれると、介護にあたる側の家族の負担も減り、医療費の削減にもつながります。その結果、社会全体が健康になるんですよね!

– 日系コミュニティに不可欠なプログラムだと言っても過言ではないですね。最後に読者の皆さんになにか一言ありますか?

キミさん:脳の運動教室なんていうと、自分には関係ない、周りから自分が認知症だと誤解されるんじゃないか、歳をとったら認知症になるのは仕方ないといった正解ではない意見をお持ちの方がいますが、心と体を楽しく過ごす交流の場だと思ってお気軽に参加してもらいたいです。

ひさしさん:難しいことをしているというイメージをお持ちの方もいますが、実際のところ、そんなことは全然なくて、先ほど話したコグニサイズにしてもできない人がほとんどです。みんな「できない〜」なんて笑いながら参加してもらっています!

コンピューターが得意じゃない人もたくさんいて、Zoomの入り方から説明しますので、ご興味があればぜひご連絡ください。

脳の運動教室 オンライン

開催日:週に1回(90分)x 12回のプログラム。随時参加可能。
対象:カナダ国内在住のシニア(60代から80代を中心)
費用:120ドル

West Coast Healthy Memory Society
バンクーバーを拠点とするNPO団体。脳の運動教室に加え、年に1回野外交流会やヘルスショーなど行っている。

ウェブサイト: https://wchealthymemory.com/
Eメール: info@wchealthymemory.com
電話番号:778-960-4735

(取材 小林昌子)

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