「良質の日本映画をカナダに」高畠晶さんインタビュー

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高畠晶さん(右端)。トロント日本映画祭で。Photo courtesy of Aki Takabatake
高畠晶さん(右端)。トロント日本映画祭で。Photo courtesy of Aki Takabatake

 カナダ初の日本映画配給会社Momo Filmsを設立

 カナダで初めての日本映画を専門とする配給会社Momo Films Inc.をトロント(オンタリオ州)で立ち上げた高畠晶(たかばたけ・あき)さん。最近では世界で、日本映画、日本人監督作品、アニメ作品などにスポットライトが当たることが多くなっている。

 そんな中、「カナダで良質な日本映画を」と配給会社を設立。11月4日からバンクーバーで上映される「マイスモールランド」が、自身が手掛けるカナダ配給初作品となる。高畠さんにEメールで話を聞いた。

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高畠晶さん(左)。オダギリジョーさんと。トロント日本映画祭で。Photo courtesy of Aki Takabatake
高畠晶さん(左)。オダギリジョーさんと。トロント日本映画祭で。Photo courtesy of Aki Takabatake

-Momo Filmsについて教えてください。

 Momo Filmsはカナダで日本映画を専門に配給する目的で立ち上げた配給会社です。また、邦画の配給以外にも、日本に関する映画やTVの制作・撮影のコーディネートや、今後は日加の共同制作も視野に入れていきたいと考えています。

-日本映画専門配給会社ということですが、なぜカナダで立ち上げようと思ったのでしょうか?

 夫がカナダ人で2009年にPRを取ってトロントに移住しました。トロント在住のため、カナダで法人化することにしました。

-カナダで日本映画の需要が高いということでしょうか?

 残念ながらカナダで特に日本映画の需要が高いという訳ではないと思います。ただトロント日本映画祭を毎年開催してきた経緯から、多くの日本映画を観る機会があり、質の高い日本映画が多いと感じてきていました。

 過去に是枝監督や黒沢清監督など国際映画祭で出品される監督の映画や、アニメ映画などはたまにカナダで配給されていましたが、日本人コミュニティへのアプローチがあまりなく、もったいないと感じていました。私が配給することで、きちんと日本人・日系コミュニティにアプローチできると思い、良質の日本映画をカナダで広めていきたいと考えています。

-トロントに本社を置いたのは理由がありますか?

 自宅がトロントにあるからです。

-今回日本配給会社立ち上げで、カナダの映画業界からの反応はなにかありましたか?

 Screen DailyがMomo Films設立に関する記事を書いてくれましたが、まだそんなに会社のことは広く知られてはいないと思います。ただ、設立のことを知った映画業界の方々からは、おめでとうとお声がけいただいています。

 また、法人化したことにより、B2Bのビジネスがしやすくなったので、カナダ映画を日本に売るお手伝いをしてほしい、などのお問い合せがすでに来始めています。

-高畠さん自身のことを少しご紹介ください。

日比谷映画祭で。Photo courtesy of Aki Takabatake
日比谷映画祭で。Photo courtesy of Aki Takabatake

 日本の高校を卒業後バンクーバーに留学し、UBC(ブリティッシュコロンビア大学)を映画専攻、仏語副専攻で卒業しました。卒業後は日本に帰国し、日本の配給会社に就職し、国際部で買付や、配給のことを学びました。

 2009年にカナダ人の夫とトロントに移住し、トロント国際映画祭で働いたり、トロント日本映画祭では2012年の立ち上げから関わり、プログラマー兼アーティスティックディレクターをしています。4年前からはトロント国際映画祭in日比谷という、東京のミッドタウン日比谷での野外上映イベントも担当しています。

 また日本の映画会社の作品を海外に売るお手伝いをしたり、カナダの制作会社が日本で撮影する際の通訳やコーディネート業も依頼があれば行なっています。Netflixの「Age of Samurai」という伊藤英明さんが出演したドキュメンタリードラマはカナダで撮影したので、Associate Producerとして参加いたしました。今年Momo Filmsを立ち上げたので、今後は日本映画の配給に力を入れていきたいと思っています。

-第1作に今回の映画「マイスモールランド」を選んだ理由は?

 今年2月のベルリン国際映画祭でワールドプレミアとして上映され、アムネスティ国際映画賞特別表彰を受賞した映画ですが、日本の映画会社からほぼ同時期に作品を観せていただきました。とてもすばらしい映画だと思ったのと、移民のストーリーで多くのカナダ人には共感してもらえると思ったからです。

-これからカナダで日本映画を配給するにあたり、たとえば多文化主義というようなカナダ文化などを考慮して映画を選ぶのでしょうか?それとも、欧米人に好まれるだろうと思う映画を上映していく感じですか?

 配給はビジネスなので、ある程度きちんと利益が出るような作品を選ばないといけないと思っています。劇場が上映したいと言ってくれないと上映が決まらないということもあり、劇場側が好む作品を選ぶ必要があるので、必然的に国際映画祭で受賞した作品か、アニメ映画、またはアクション大作など、ある程度選ぶ作品は決まってきてしまうのかな、とは思っています。

 また今は私一人でやっているので、マンパワー的にも限られた本数しか配給できないと思うので、最終的には個人的にとてもおもしろいと思う作品を選びたいと思っています。

-最後に読者にメッセージがあれば、お願いします。

 立ち上げたばかりの小さな配給会社ですので、ぜひ皆様のご支援をいただければうれしいです。「マイスモールランド」のバンクーバーでの上映(The Cinemathequeで11/4~11/7)を観にきていただいたり、Momo FilmsのSNSをフォローしていただいたり、上映情報を拡散していただければありがたいです。今後も良質な日本映画をカナダで配給していきたいと思いますので、ぜひご支援のほどお願いいたします。

高畠晶(たかばたけ・あき)
Website: www.momofilms.com 
SNS: https://lit.link/en/MomoFilmsCanada

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 「マイスモールランド」は、すでにトロントやモントリオール(ケベック州)で上映され、バンクーバーで上映後も、トロント、シャーロットタウン(プリンスエドワード島州)で上映される予定。

マイスモールランド上映

日にち:11月4日(金)~11月7日(月)
会場:The Cinematheque(1131 Howe Street, Vancouver, BC)
ウェブサイト:https://mysmallland.jp/
チケット購入:https://thecinematheque.ca/films/2022/my-small-land
*英語字幕あり

高畠晶さん(中央)。草刈民代さん(左端)、周防正行さんと。Photo courtesy of Aki Takabatake
高畠晶さん(中央)。草刈民代さん(左端)、周防正行さんと。Photo courtesy of Aki Takabatake

(取材 三島直美)

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