第26話 2度目の帝王切開

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 月に一回の検診の際に、お医者さんが次回は普通分娩希望かと私に聞いてきた。私は即座に帝王切開でお願いしたいと言った。なぜかというと、前回の3日間という長い出産を経験し、自分の体は出産に向いていないと悟ったこと、そしてあまりにも苦しい死ぬような痛みを経験したのに、子宮口が3センチしか開かなったから、正直お産が怖かったこともある。それを聞いた先生は「そうですね、前回のことがありますからその方が安全でしょう」と。

 ということで、予定日の5月中旬に帝王切開をすることになった。

 妊娠、出産すべてにおいて今回は2回目ということもあり、余裕たっぷりだった私。すべてが幸せで楽しむことができたし、もうどんなことがあってもパニクることもなかった。前回とは違って、今回は私には何人ものママ友もいたし、あれだけやんちゃだったダダさんだっていろいろ手伝ってくれていた。怖いものなし、しかも予定した帝王切開だったから落ち着いた心でその日を迎える準備をした。そして前回、私の母が助っ人で来てくれた時の苦い経験を活かし、今回はあえて母ではなく、ワーホリの日本人のお手伝いのお姉さんを予定日の3カ月前から住み込みで確保しておいた。このお姉さん、英語が堪能、料理、掃除上手、そしてなよみともよく遊んでくれた優れもの。

 さて、その日はまたしても突然やって来た。またもや前回と同様、しかも予定日よりも1カ月も早く破水が始まった。でも今回の私は全く動揺なし。陣痛がまだ来ていないから余裕で、ゆっくり入院の準備、シャワーを浴び、なよみの準備をして、2日以内には2児の母になる覚悟を決めた。そして急がずドクターのところへ電話し、翌日に帝王切開をすることになった。

 なよみの時とは違い、今回はダダさんも心に余裕があった。というわけで手術室での写真もしっかり撮れた。その中で一番面白かったのが、私のお腹から出てきて、看護師さんが体を拭いたりするベットの上で、なんと私の赤ちゃんは、おしっこをピューッとしてしまったことだ。しかもそのシーンをダダさんがばっちり写真におさめることができた。すごい。

 彼に初めて対面した時の私の印象は、“かわいい”の一言。なよみのようにとんがり頭ではなかったし、髪の毛が全然ないくりくりハゲ頭。ものすごく色が白くて、お目目がグレー。疲労困憊していた前回の私とは違い、今回私はとにかくすべてをしっかりエンジョイ、とてもいいお産ができたと思う。健康で生まれてきてくれてありがたいと神様に感謝する余裕さえあった。というわけで、2965gで私たちのところに生まれてきてくれた彼をネーサン・ドナルドと名付けた。

ヨガ、フィットネス士道などで活躍するドナルド涼子さん。二人目も帝王出産で元気な男の子が生まれた。
ヨガ、フィットネス士道などで活躍するドナルド涼子さん。二人目も帝王出産で元気な男の子が生まれた。Photo ©Ryoko Donald

 さて、ネーサン君は赤ちゃんの頃はとても静かで、よく眠る子。なよみとは正反対。どこに出かける時でも、ストローラーの中でいつも眠っていた彼。でもそんな静かで私にいつも楽をさせてくれるネーサン君は、1歳過ぎに歩き始めると途端に私を思いっきり困らせる元気な男の子に成長した。

 ネーサン君は車が大好きで、“じいじ”や“ばあば”からいっぱいトミカを日本から送ってもらって毎日遊んだ。彼を育てていて一番大変だったのは、とにかく動きが速い。一瞬目をそらしたすきに、気づくとずっと遠くまで走って行ってしまい、私はいつもダッシュで常に彼を追いかけている状態。しかも癇癪もなよみとは比べようにならないくらい激しい、鳴き声もものすごく大きい。

 でも機嫌のいいときはスイートで甘えんぼ、お母さんっ子でものすごくかわいい子。そして16歳になった今でも、ネーサン君は優しくて、お手伝いもよくできるスイートボーイ。あの頃の私にとって、男の子と女の子は全然違うんだなということがすごく新鮮に思えたし、でもなおさら育児が楽しかったかな。

 なよみが小学校に上がる頃には彼女は几帳面、真面目、そしてやさしい女の子に成長し、学校でも先生からいつも褒められる優等生。そして19歳になる今でもそれは同じ。彼女の学校での成績や勉強について、今まで一切私は悩んだことがない。すべて自分でしっかりやるタイプの子のようだ。上の子がそんな楽な子だったから、私はネーサン君もきっとそうなのかなと勝手に思っていた。でも、人生とはやはり平等にできているようで、上の子でめちゃくちゃ楽をした私は2人目で普通以上に、いろいろ困らされることになる。

ドナルド涼子
BCRPA Fitness Presenter, Yoga Teacher
48歳、愛知県出身
 2016年ベストインストラクター賞を受賞。43歳の時に、ボディービルのビキニコンペティションを趣味として始め、優勝、上位入賞する。フィットネスプロフェッショナルへの講習、地域の学校でのヨガ、フィットネス指導、心と体の健康と幸せの為の講演活動を行っています。

ドナルド涼子
フィットネスプロフェッショナルへの講習活動、地域の学校でのヨガ、フィットネス指導などで活躍する、ドナルド涼子さん Photo @ Ryoko Donald

 こんな肩書を持つ私ですが、若かった頃は、デブ、ネガティブ、ずっと自分の事が大嫌いだった。このコラムでは、そんな私が、どうやって健康で幸せな今の自分に変身したかのお話です。

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